Googleの元CEOであるエリック・シュミットが、AIに対するイーロン・マスクの警告について意見を求められたときの答は簡潔なものだった:「私はイーロンが完全に間違っていると思っています」。
「彼は、この技術があらゆる人間を賢くするために提供してくれる利点を、理解していないのです」とシュミットは語った。「この問題における事実は、人工知能と機械学習は人類にとって根本的に良いことだということなのです」。
シュミットは技術が悪用される危険性があることは認めているが、メリットのほうが勝っていると語った。「例えば、邪悪な人たちによって悪用される可能性があるからと言って、電話を発明するのはやめるでしょうか?いいえ、それでも電話を作り、電話の悪用を取り締まる方法を見つけようとする筈です」。
マスクと科学者スティーブン・ホーキングが表明したAIに関する懸念に対して過去にも反論してきたシュミットは、本日(米国時間5月26日)パリのViaTech会議のステージ上でインタビューを受けた。
彼は昨年の12月にはGoogleの親会社Alphabetのエグゼクティブ・チェアマンは辞任したが、現在も技術アドバイザーとして関わっており、現在は機械学習や人工知能の新しい応用に焦点を当てているという。
シュミットが聴衆の記者たちに、皮肉な発言で格好の見出しの材料を与えた後、インタビュアーのMauriceLévy(元Publicis CEO)はシュミットに対して、一部の人たちが「置き去りに」ならないようにするためには、AIと公共政策をどのように発展させていくことができるのかと尋ねた。シュミットは、政府はこれらの技術を取り巻く研究と教育に資金を提供すべきだと答えた。
「これらの新しいソリューションは出現するにつれて、私たち全員に利益をもたらします。そこには現在困っていると感じている人たちも含まれます」と彼は語った。彼はまた、データによれば「仕事がより複雑になっている職場で働く労働者の給与は上昇しています ―― もし彼らがそれを遂行するための適切な手助けを得られるならば」と付け加えた。
シュミットはまた、オートメーションと技術が雇用を無くしてしまうという懸念とは反対に、「AIを取り込むことは、仕事全体としては肯定的に捉えられます」と主張した。実際「仕事は沢山あるのです」と彼は言う ―― 何故なら社会が高齢化するに従い、重要なサービスに資金を回すための、十分な数の労働者と税収の確保が難しくなってくるからだ。それ故にAIは「私たちの生産性を高め、よりスマートでスケーラブルに、そして迅速にしていくための最善の方法」なのだ。
AIと機械学習がインタビューの公式テーマであったが、Levyは、本日発効したデータとプライバシーに関する欧州のGDPR規制に、Googleがどのように適応しているかを尋ねた。
「われわれの観点からみれば、GDPRは現地の規則であり、私たちはそれを遵守するだけです」とシュミットは述べた(アップデート:Not everyone agrees(誰もが賛成しているわけではない))。
より一般的な意見として、彼は政府は規制と革新の間に「バランスを見出す」必要があると示唆した。なぜなら「規制というものは、一般に既存勢力を利する傾向がある」からだ。
Googleのような企業が、ユーザーの個人データに依存する大規模なビジネスを構築したならば、ユーザーは金銭的利益を得るべきであるという議論はどうだろう?
「私はお金を再配分することには何の抵抗もありません ―― それこそが、税金の役割であり、規制の役割なのです」とシュミットは語る。しかし彼はまた、消費者たちは無料のサービスにアクセスできているので、すでにこれらのビジネスモデルの恩恵を受けていると主張した。
「実際の価値はデータそのものにではなく、データを使って問題を解決してお金を稼ぐ企業の、産業形態にあるのです」と彼は語った。「それが資本主義というものです」。
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(翻訳:sako)