日本では競馬や競艇をはじめとして、賭け事といえば公営のものを思い浮かべる。だが海外を見るとブックメーカーやカジノなど、ライセンスを持った業者が運営する民営のものも多い。その領域にモバイルで挑戦するスタートアップが、シンガポールに登記するKibow Asia(Kibow)だ。同社は4月15日、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)および個人投資家らを引受先として、総額約1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
KibowのFounderでCEOの直江文忠氏は、2003年に葬儀ビジネスを手がけるサンクチュアリを創業。3年で年商30億円まで成長させて売却した経験を持つ。
そんな直江氏が次のチャレンジに選んだのがモバイルを使ったオンラインベッティング(賭け事)。「色眼鏡で見られてしまうが、保険会社だってベッティングの市場から生まれたもの。その市場規模は4.7兆円と大きく、一方でオンライン比率は3割程度とまだまだ低い。実はソフトバンクがイギリスのベッティング会社の『Betfair』に600億円を出資していたりもする」(直江氏)。実際イギリスでは、複数のベッティング会社に対して金融機関が資本を入れているという。詳細は非公開だったが、Kibowの株主にも金融業界関係者などが含まれているそう。
すでにKibowでは、フィリピンのベッティングライセンスを取得しているそうだが、今後はベッティング市場の中心であるイギリスでのライセンスを取得して事業展開を進めるよう準備中だ。早ければ11月〜12月にもサービスを開始する予定だ。その後は米国やアジアでも広く事業を展開するという。なおKibowでは、事業者が胴元になるのではなく、「bet exchange」と呼ぶユーザー同士でベッティングを行うプラットフォームを構築するのだそう。このため、胴元のリスクはきわめて低いのだとか。
「RedBullやGoProと同じような世界観を作りたい」—直江氏は語る。これらの企業はエクストリームスポーツイベントなどを主催、協賛、支援するなどして、自社のブランドイメージを確固たるものにした。Kibowでも同様に、アスリートやクリエーターを支援できるようなかたちでのベッティングを手がけたいという。「これまでのベッティングで中心となっていたのはサッカーやラグビー、クリケットといったメジャースポーツ。我々はエクストリームスポーツ、マイナースポーツにフォーカスを当てる。またチームではなく個人の選手の応援をしていきたいし、引退後のアスリートの支援などもしたい。グレーな事業はやらない」(直江氏)
将来的にはベッティングのプラットフォームだけでなく、自らスポーツイベントも展開する考え。「競合はオリンピック。2020年の東京五輪では、裏番組的に独自のスポーツイベントも提供していきたい」(直江氏)