オンライン言語検索サービスのLudwigで英文をブラッシュアップ

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これまで母国語以外の言語で文章を書く経験をした人であれば、恐らく誰もが少なくとも2つのことを知っているだろう。ひとつは、普段に比べて文章を書くのにとても時間がかかるということ。そしてもうひとつは、オンライン翻訳サービスには間違いが多いということだ。

イタリア出身の研究者Antonio Rotoloも、学生生活の早い段階で同じ問題に直面した。国際的なキャリアを築いていきたいと思った彼は、論文を英語で執筆しなければならなかったのだ。そして、MITに入学してから半年後に、Rotoloは新しい形のオンライン翻訳サービスのアイディアを思いついた。彼の思い描いたサービスは、The New York TimesやBBCなどの信頼できる情報源が文法的な誤りを犯していない限り、間違いようのないものだった。

2016年2月に公開されたLudwigは、正しい英語の文章を書くサポートをする言語検索エンジンだ。イタリアのカターニアを拠点とするLudwigは、シチリア島出身でアメリカ、ノルウェー、ドイツ、スペインの大学での勤務経験を持つ研究者やエンジニアのグループによって設立された。同社は、2014年7月に153億ドル規模の電気通信会社Telecom Italiaより2万5000ユーロ(2万7880ドル)の補助金を受け取った。

Ludwigについてまず知っておかなければならないのが、ユーザーはアクティブな役割を担わなければいけないということだ。「私たちの最終的なゴールは、ユーザーが自分の力で英文を書けるようになることです」と共同設立で公共経営博士のFederico Papaは語った。「私たちは言語学習がアクティブなプロセスだと堅く信じています」

  1. まず、ユーザーはチェックしたい文章を入力する。すると、Ludwigが正しい例文を表示する。
  2. さらにユーザーはLudwigに英文の空いている箇所を埋めさせることもでき、文脈に合う語彙のリストを確認できる。
  3. 熟語はLudwigのデータベース上に登録されている。
  4. Ludwigは辞書としても使うことができる。
  5. Ludwigのウェブサイト上には、英語について書かれたブログもある。

Ludwigを使う際、ユーザーはLudwigバーに(Google翻訳を使うときのように)翻訳したい文章を入力するのではなく、自分なりの英訳文を入力しなければならない。そして、アルゴリズムが入力された文章を、The New York Times、PLOS ONE、BBC、学術論文などの信頼できる情報源を基にした例文データベースと比較する。その後、Ludwigが検索結果を表示し、ユーザーは例文を確認するとともに正しい表現を学ぶことができる。

「私たちはLudwigがGoogle翻訳の競合サービスだとは考えていません」とCEOのRotoloは話した。「Google翻訳でまず翻訳を行って、その後Ludwigで翻訳が正しいかチェックすることはできますけどね」

Ludwigの社名は、20世紀の最も影響力がある哲学者で、数ある中でも言語哲学に焦点を当てた研究を行っていたルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン(Ludwig Wittgenstein)に由来する。「ヴィトゲンシュタインは、言葉の意味はその文脈に依存するという結論にたどり着きました」とLudwigの共同設立者で認知科学者でもあり、現在ペンシルベニア大学ウォートンスクールで経営学の博士過程に在籍しているRoberta Pellegrinoは説明する。「そして、文脈こそが、何百万という数の信頼できる情報が集まったデータベースを検索し、Ludwigが提供する唯一の情報なのです」

別のオンライン翻訳ツールとして知られるReversoは、複数言語で表記された巨大な例文データベースを保有している。「Reversoのデータベース上に存在する文章は、必ず他の言語と対になっていなければなりません」とRotoloは語った。「LudwigはReversoと違い、英語で入力されたどんな文章でも、信頼できる英文を基にチェックすることができます」

しかし、少なくともひとつのケースにおいて、Ludwigのユーザーは行き詰まってしまうことになるかもしれない。例えば、「data」が単数形なのか複数形なのか確認したいとする。しかし、Ludwig上には「data are」と「data is」という両方の形の例文が表示されてしまう。こういった場合、ユーザーは検索結果の数を確認するか、ウェブ上で追加の確認を行うことができると、エンジニアのFrancesco AronicaとSalvatore Monelloは説明する。

The team of Ludwig is composed by eight people: Antonio Rotolo (CEO and co-founder), Roberta Pellegrino (design manager and co-founder), Federico Papa (legal expert and co-founder), Francesco Giacalone (designer and designer and developer), Daniele Tagliavia (communication manager), Antonino Randazzo (head software developer), Francesco Aronica (database expert) and Salvatore Monello (algorithm expert).

Ludwigは8人から構成されている。 写真の6名が左から、Francesco Aronica(データベースエキスパート)、Salvatore Monello(アルゴリズムエキスパート)、Francesco Giacalone(デザイナー兼ディベロッパー)、Antonio Rotolo(CEO兼共同設立者)、 Roberta Pellegrino(デザインマネージャー兼共同設立者)、Federico Papa(法務エキスパート兼共同設立者)で、写真には写っていない残りの2名がDaniele Tagliavia(コミュニケーションマネージャー)とAntonino Randazzo(ヘッドソフトウェアディベロッパー)。 写真提供: Ludwig

同社によれば、現在Ludwigは1日あたり平均1万ページビューを記録しており、168ヶ国から7万5000人のユーザーが日常的にサービスを利用している。

留学生はLudwigのターゲット層のひとつだ。Institute for International Educationによれば、2014年から2015年にかけて、約100万人の留学生がアメリカの短期大学や大学に在籍していた。そして、その大部分(44%)がSTEM分野の学科に入学し、科学、技術、工学、数学関連職の人材のパイプラインを形成していたのだ。

オンライン版のLudwigは現在無料で利用可能だが、同社は4つの方法でサービスのマネタイズを行おうとしている。オンライン版への広告掲載がまずひとつ。そして、ふたつめの収入源が語学学校のオンラインプラットフォームに統合することができるLudwigのAPI版の提供だ。さらに、Ludwigは広告無しのデスクトップアプリのローンチを秋に予定している。最後に、同社は信頼できる情報源に対して、オンラインアーカイブへのトラフィックを増加させるためのパートナーシップを持ちかけようとしている。

将来的にLudwigは、メンターにもなってくれるようなエンジェル投資家をみつけたいと考えている。シチリア島を離れてシリコンバレーに移動することについて、Pellegrinoは「どんな選択肢も受け入れようとは思っていますが、私たちの夢は国際的なチームと共にシチリア島で生活しながら仕事をすることです」と語った。

注記:原文の一部の文章や前置詞は、Ludwigを使ってチェックしつつ執筆されており、本記事の執筆者は英語ネイティブではない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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