reCAPTCHAの開発者Luis von Ahnが共同創立した無料のオンライン語学学習サービス、 Duolingoは、今日(米国時間6/10)、Google Capitalがリードしたラウンドで4500万ドルの資金を調達したことを発表した。Union Square Ventures、NEA、Kleiner Perkins Caufield & Byersに加えて、Tim Ferrisや俳優でベンチャーキャピタリストのAshton Kutcherなど前回のラウンドの参加者も今回のラウンドに加わっている。
今回のラウンドでDuolingoの調達した資金総額は8330万ドルとなり、同社によれば、会社評価額は4億7000万ドル程度だという。
Duolingoの発表によれば、無料語学学習コースのユーザーは世界で1億人に達し、アメリカにおけるDuolingoのユーザー数は全ての公立学校の生徒数より多いという。学校向け無料プログラム、platform for schoolsに登録している教師の数は10万人となっている。
「Duolingoのモバイルに重点を置き、ゲーム化されたプラットフォームは世界中で言語学習の方法にイノベーショhンを起こしている。Duolingoの成長率、利用時間はわれわれを仰天させた。この会社と共に教育の未来を変えていく手助けができるのは喜ばしい」とGoogle Capitalのパートナー、Laela Sturdyは述べた。
実はvon Ahnは過去にGoogleと縁が深い。von Ahnは2009年にreCAPTCHAをGoogleに売却しており、またそれ以前にも彼のESPゲームがGoogleのImage Labelerに2006年に採用され、2011年まで用いられた。
Duolingoの翻訳事業はどうなる?
オンラインで無料の学習コースを提供するだけでビジネス―それも4億7000万ドルに評価されるビジネスを運営していくことはできない。複雑な文章も翻訳できるようになった上級課程の終了者による翻訳サービスによって収入を得るというのがDuolingoの当初のビジネスモデルだった。CNNはDuolingoの翻訳サービスをここしばらく利用している。
しかし奇妙なことに、Duolingoは今回の発表で翻訳サービス事業について全く触れなかった。私の取材に対して広報担当者は「われわれは1年半ほど前に翻訳事業を棚上げし、以来新規顧客の受付を中止している(ただしCNNの翻訳は続けている)」と語った。Duolingoは収益事業として 語学能力の検定を行うTest Center をTOEFLに取って代る存在に育成しようと努力中だ(テストの料金は20ドル)。広報担当者は「それ以外にもマネタイズ手法を検討している」と語った。
広報担当者はこの方針変更の理由を次のように説明した。
「翻訳事業によって実際に収益を上げてみると、品質管理やセールスのために多くの人を採用しなければならなず、Duoingo自体が翻訳サービス会社になっていく危険を感じたからだ。企業は収益を上げている部門に注意を集中してしまうものだ。われわれはあくまで教育企業であり、世界の人々により効率的な学習手段を届けるのが使命だ」
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)