調剤薬局向けクラウド「Musubi」(ムスビ)を開発するカケハシは9月8日、AIを活用し薬局の業務効率と在庫管理を効率化するシステム「Musubi AI在庫管理」の提供を開始した。
「Musubi AI在庫管理」は、Musubiのオプションサービスにあたる、AIを利用した薬局向けクラウド在庫管理・発注システム。薬局では、患者の症状の変化や処方内容の変更などにより、使用期限を迎えた医薬品の在庫を処分するリスクが常にあり、その損失額は年間280億円にものぼるという。
しかし、従来型の在庫管理・発注システムには在庫管理に適したコード体系がなく、適切な需要予測の難易度が高いことから、そうした調剤予定のない不動在庫を抱えないようにするには、これまでは薬剤師の勘と経験に頼って発注を行うしかなかった。
一方Musubi AI在庫管理では、AIを駆使した高精度な患者来局予測や独自コードによる在庫管理、患者ごとの処方情報の管理などを通じて、その問題に対処する。近く、店舗間在庫融通と受発注、在庫状況に関するレポート閲覧機能が追加される予定。これにより半自動化することで業務の属人化を防ぎ、「誰でも、より簡単に、より適切な」発注と在庫管理が可能になるという。
さらに、余剰在庫の買い取りや再販を行う医薬品二次流通サービス「Pharmarket」(ファーマーケット)と連携し、不動在庫を検知して、売却医薬品のレコメンドを行い、売却見積もりを作成する「らくトク売却」機能を追加したプランもある。これを利用すると、Pharmarketにおける医薬品の買取価格の割増、医薬品の購入価格の値引きといった特典が受けられる。実際の「らくトク売却」機能の提供は2022年からとなるが、申し込み時点から「Pharmarket」にて同じ特典が適用される。
このサービスは「Musubi」を導入している薬局が対象だが、未導入でもカケハシが提供する機器を設置することで利用が可能になる。