iOSとAndroidのキーボードアプリFleksyが、キーボードからほかのアプリへのディープリンクができるという機能により、サービスのマネタイズを図ろうとしている。
その機能そのものを提供するのはディープリンクを検索するサンフランシスコのURXで、ここはY Combinatorの卒業生だ。これによりFleksyのユーザは、キーボードからほかのアプリのコンテンツとシームレスに対話でき、今何かをキーボード入力しているアプリを去らなくてもよい。こういう機能はとくにアジアのメッセージングアプリに多いが、でもFleksyならユーザのスマホ上のどんなアプリからでもできてしまうのだ。
Fleksyはキーボードアプリの中では人気が高い方だが、同社はユーザ数を“数百万”としか言わない。先月から無料になり、同社の売上源はユーザがキーボードをカスタマイズするときの有料テーマと、一部の情報サービスだけになった。マネタイズ努力のためにたとえば5月には、Imojiとパートナーしてカスタムステッカーを加えたりした。
でも、キーボードアプリは強い。ダウンロード数はコンスタントで、スパイクもないが急落もない。モバイル業界では、うらやましがられる存在だ。FleksyのCEOで協同ファウンダのKosta Eleftheriouによると、ユーザは自分のキーボードを一日平均180回見る。累計使用時間は90分だ。ユーザ体験がコンスタントであるだけでなく、Fleksy自身がユーザについて多くのことを知ることができる。そしてEleftheriouによれば、その点にこそ、他のアプリにとって、キーボードのありがたい利用価値があるのだ。
FleskyとURXのパートナーシップは、まずメディアにとって意義がある。たとえばユーザが会話の過程で’Drake’とタイプしたら、SoundCloudやSpotifyのリコメンデーションを表示できる。でも、メリットはそれだけではない。
URX自身も、ユーザがアプリをダウンロードしたり再びエンゲージ(たとえばショッピングアプリで買い物)したりすると、収入になる。そういう対話の一部はFlexsyの収入にもなるが、Eleftheriou曰く、アプリのインストール広告の猛攻撃にはしたくない。今後はほかにもマネタイズの機会が増えると思うが、良質なユーザ体験を維持するためには、ある程度の自制が必要である。なんでもかんでもマネタイズでは、ユーザがFlekxy離れをするだろう。
彼曰く、“キーボードアプリが成功するための重要な鍵は、ユーザ体験がすっきりしていることだ。だから、広告攻めはだめ。ディープリンクで、やろうと思えばいろんなことができるけど、ユーザにとって意味と意義の大きいものを選ばなければならない。ユーザがキーボードを使う邪魔になっては、元も子もない”。
無理のない、有意義な例としてEleftheriouが挙げるのは、あるeコマースアプリ/サイトの場合だ。ユーザがそのeコマースを訪れて何かを買おうとしているときFleksyキーボードを使っていれば、その入力内容に応じて、別ウィンドウでおすすめ商品などを見せることができる。
このようなポップアップ方式は、タクシーのような、位置情報が使われるアプリでも有意義だ。
“Fleksyは会話の状況を理解できるから、友だちとどこかで会う約束をしていたらキーボードからUberを呼び出せるが、そのとき会話の内容からすでに目的地はセットされている”、とEleftheriouは説明した。
ただしそのような統合はまだ実装されていなくて、サービスはまだ初期的段階だが、でも地域によって特定の商用アプリの強いアジアと違って合衆国では、キャリア提供のSMSやプラットホーム(iOS、Android)のデフォルトのメッセージングサービスが広く使われているので、Fleksyのような付加価値サービスには有利だ。
Eleftheriouが言うには、“単なるキーボードでしかなかったキーボードが突然、指一本で使える多芸なユーティリティになるのだ。いつでも、ユーザが今やってることと関係のある何かを、教えてくれる”、だとさ。