簿記など専門知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフトの「freee」が今日、iPhoneアプリをリリースした。外出先のスキマ時間で現金の出入りを入力しやすくなる。日々こまめに入力しておけば、年度末に泣かなくて済むかもね。
家計簿や個人向けの入出金管理アプリというのはモバイルでもたくさんあるが、個人事業主や法人の決算書出力にまで対応する会計ソフトとしてモバイル端末から収支取引を登録できるモバイルアプリは日本初だ、と同社は話している。
iPhoneアプリでは、ブラウザで使うPC版のfreeeの機能のうち、取引の登録、売掛・買掛金の閲覧、当月の収支の閲覧の機能が利用できるそうだ。今後のアップデートではPC版と同等の機能提供予定であるほか、3月にはAndroidアプリのリリースも予定しているということだ。
freeeは個人事業主や中小企業のためのクラウド会計ソフトで、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、記帳を自動化するサービス。確定申告や青色申告、法人決算に必要な決算書などの作成が簡単にできる。明細に「ナントカ交通」とあれば、タクシー利用の交通費に決まってるじゃないかという感じで、テキスト処理で仕分けを推測して自動化するのが特徴だ。推定による勘定科目が意図と違う場合は仕分けルールをユーザーが設定を追加できる。フリー代表取締役の佐々木大輔氏が言うには、大量の請求書や領収書をアプリに打ち込む作業に比べて経理作業が50倍の速さでできるそうだ。
XPのサポート切れなどで新規ユーザー登録ペースが5倍
フリーに投資しているVCの1つ、Infinity Venture Partnersが2月6日に開催したメディア向け説明会の場で佐々木氏は、2014年の年が明けてからはfreeeのユーザー登録のペースが年末の5倍にも達していることを明かしていた。この4月にWindows XPのサポート切れが迫っていて、ちょうどインストール型の会計ソフトの乗り換えタイミングの波が来ていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていること、それと年度末に「会計」という言葉で検索するユーザーが増えるという季節性などが重なってのことだという。今さらの説明のようだけど、消費税率変更などではインストール型よりクラウド型のほうがアプリのバージョンアップが不要で有利だ。現在サービス開始から10カ月にして、すでに4万を超える事業所が利用しているという。
freeeは元Google社員が創業したスタートアップ企業として2012年のTechCrunch Tokyoでデビューし、2013年3月に製品をローンチしている。翌年のTechCrunch Tokyo 2013でお披露目となったマネーフォワードの「マネーフォワード 確定申告」、「マネーフォワード For BUSINESS」というライバルもいる。1月27日のローンチ時には価格をfreeeの月額980円より低めの月額800円に設定するなど、このジャンルの競争は追い風を受けて一層ヒートアップしそうだね。
そうそう、freeeは先日Dr.Walletと提携して、レシート100枚を無料で会計データとして取り込めるというサービスも開始していたので付け加えておこう。