100億円の予算で非ゲーム分野の新規事業開発を進めるグリーが12月24日、オンライン定額リフォームサービス「リノコ」を手がけるセカイエを13億400万円で子会社化することを明らかにした。リノコは、ネットを通じて定額リフォームを依頼できるサイト。工務店と消費者の間に入ることで、工務店による強引な販売や追加料金の請求を排除することを謳っている。グリーは、子会社が手がける同様のサービス「いえプラス」とリノコを連携し、事業拡大を図る狙い。
リノコが手がけるのは、クロスの張り替えやキッチン、お風呂、トイレ、洗面台の交換など。見積もりには材料費や工事費、人件費などリフォームに必要なすべての費用を記載しているのが特徴。例えばクロス貼替えは、「6帖で3万9800円」などと決まっている。2012年の創業以来、500社を超える工務店とのネットワークを構築している。
セカイエ代表取締役社長の高間舘紘平氏によれば、住宅リフォーム業界は圧倒的な市場シェアを獲得するプレイヤーは存在せず、中小零細企業の売り上げが75%を占める。大手不在のためにサービスが適正化されていない部分もあるようで、見積もりに追加料金が発生するトラブルも少なくない。以前の取材では「腐った慣習がはびこっている業界に適正な相場をもたらしたい」と語っていた。2014年2月には、ニッセイ・キャピタルが運営するファンドを引受先とする2億円の第三者割当増資を実施した。
グリーは2013年、従業員の1割に相当する約200人を削減するなど事業再編を実施。現在はネイティブゲームに注力するとともに、非ゲーム分野で100億円の予算をかけて新規事業に投資する方針を掲げている。これまでスマートニュースやランサーズに出資したほか、新規事業の一環として7月には、子会社のグリーユナイテッドライフがリノコと似たサービス「いえプラス」をリリース。現時点で工務店150社をネットワークしている。
セカイエの子会社化は、リノコがすでにネットワークしている500社の工務店を取り込むのが狙いの1つと見られる。グリーでは今後、両サービスで工務店のネットワークを統合することを発表しているほか、マーケティングやオペレーション、商品開発のノウハウ、人材面でも連携するという。リノコは当面、セカイエのスタッフが独自サービスとして運営していくことになる。