グーグルがタブレットや折りたたみスマホに最適化した「Android 12L」を正式発表、2022年中に対応機種に提供

Google(グーグル)は米国時間3月7日、Android OSの大画面端末向けに最適化したバージョンとなる「Android 12L」を正式発表した。2021年10月にプレビューが公開されていたこのAndroid 12Lでは、タブレット端末でAndroidをより使いやすくする機能が提供される。Googleによれば、このソフトウェアは2022年後半から、Samsung(サムスン)、Lenovo(レノボ)、Microsoft(マイクロソフト)の対応デバイスに提供が開始されるという。

Android 12Lの発想は、画面が600dp以上のタブレットや折りたたみ式デバイスのユーザー向けに、ユーザーインターフェースの最適化、マルチタスクの強化、互換性サポートの改善を行うことによって、より大きな画面のデバイスでアプリを実行したときに、デフォルトでより良い体験が得られるように、Androidを調整することだった。

例えば、Android 12Lでは、拡大されたスペースを活かし、通知シェードにクイック設定パネルと通知を2列に並べて表示できる。ロック画面でも2列のレイアウトで、通知と時計が表示される。設定画面も大きな画面に合わせて最適化されているので、それぞれのセクションに入ったり出たりすることなく、各種の変更を行うことができる。暗証番号の入力やロック画面のパターンも、手が届きやすいように画面の横に配置されるなど、いくつかの重要な操作も変更されている。

画像クレジット:Google

Android 12Lは折りたたみ式デバイスにも対応し、最適化されたホーム画面のグリッドと、折りたたみ時 / 展開時の洗練された移行により、ユーザーはたたんだ状態の外側画面から、開いた状態の大画面へ、シームレスに移動して使えると、Googleは述べている。

さらに12Lでは、新たにアプリを起動したり切り替えることができるタスクバーも、画面下部に追加された。これは画面長押しで、いつでも表示したり隠したりできる。ジェスチャーナビゲーションで最近使ったアプリをめくるようにすばやく切り替えたり、分割画面モードにしたり、上にスワイプしてホームに戻ったりすることもできる。

Android 12Lのユーザーは、直接タスクバーから別のアプリを画面にドラッグ&ドロップするか、概要で新たに加わった「分割」アクションを使うことで、分割画面を開始することが可能になった。つまり、例えばニュースを読みながらYouTube(ユーチューブ)の動画を見たり、Chrome(クローム)ブラウザでウェブ検索したり、Google Maps(グーグル マップ)を使ったりすることができるというわけだ(画面分割モード自体は目新しいものではないが、Android 12Lではよりアクセスしやすくなり、開発者がこのモードをサポートするためにオプトインする必要もなくなった)。

12Lでは、まだ大画面のデバイスに最適化されていないアプリのための互換モードでも、視覚および安定性が改善されている

画像クレジット:Google

このアップデート版Androidは、Googleが近年、Androidタブレットに対して行ってきたいくつかの改良に続くものだ。2020年には、タブレットに子ども向けモードの「Kids Space(キッズスペース)」が追加された。2021年開始した「Entertainment Space(エンターテインメントスペース)」では、映画、テレビ番組、電子書籍、ゲーム、動画など、あらゆるコンテンツがまとめられ、すべてに一カ所から簡単にアクセスできるようになった。

Android 12Lは、タブレット所有者のニーズに対応することを目的とするという点で、Apple(アップル)のiPadOSと似ているが、アップルがiOSとiPadOSで行ったような、Androidを分岐させて別のOSにするという方法を、Googleは実際には取らなかった。

Android 12Lの公式発表と同時に、Googleは自社デバイスの「Pixel(ピクセル)」に新機能セットをもたらすアップデート「Pixel Feature Drop(ピクセル・フィーチャー・ドロップ)」の最新版も発表した。この10回目のFeature Dropでは、Snapchat(スナップチャット)がNight Sight(夜景)モードに対応したり、リアルタイムで話し声を文字起こしするLive Caption(ライブキャプション)が電話中でも使えるようになったり、リアルタイム翻訳機能のLive Translate(ライブトランスレート)で対応言語が拡張されたりなどの機能が追加されている。

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。