グーグルがマップの3D表示大型アップデートを予告、屋内でのARルート案内など新機能を多数発表

Google(グーグル)は米国時間3月30日、Googleマップの大規模なアップデートをいくつか発表した。その内容は「Live View(ライブビュー)」機能によるARルート案内が一部の屋内でも使えるようになることや、地図に気象データが追加されたことなど多岐にわたる。だが、最も気になるニュースは、それがいつになるのか時期は明らかにされていない(典型的なGoogleらしいやり方だ)ものの、同社が大幅に改善された3DレイヤーをGoogleマップに導入することを計画しているというものだ。

Microsoft(マイクロソフト)の「Flight Simulator(フライトシミュレーター)」で世界の広い範囲を詳細に描き出すことを可能にしたのと同じ技術であるphotogrammetry(フォトグラメトリー)を使って、Googleもその地図サービスのために世界の3Dモデルを構築している。

「私たちは、何十億枚もの航空写真、StreetView(ストリートビュー)、衛星画像を融合させる技術を引き続き改良し、平面的な2Dマップから、従来よりも正確な3Dモデルへと進化させていきます。しかも、これまで以上に速く、詳細に描き出すことが可能になります」と、GoogleのGeo Product Experience(地理製品体験)担当VPであるDane Glasgow(デーン・グラスゴー)氏は、この日の発表に先立って行われたプレスイベントで語った。同氏によれば、この3Dレイヤーによって、同社のすべてのデータを新しく興味深い方法で視覚化できるようになるという。

画像クレジット:Google

この技術が実際にどのように機能するかはまだ不明だが、一例として、グラスゴー氏は3Dマップの上に通常のマッピングデータをすべて重ね合わせた、新しい3Dルートのプレビューを披露した。

また、この技術によって、Googleは信号機の位置や建物の住所などの小さな特徴を解析できるようになり、その結果、より良い道案内ができるようになると、グラスゴー氏は述べている。

「3D画像を利用することで、多くの新しい情報やデータを重ねて可視化することもできると、私たちは考えています。例えば、交通渋滞や事故、交通機関の遅延、混雑状況といった役立つ情報をはじめ、新たな情報をもたらすことができる可能性はたくさんあります」と、同氏は説明した。

画像クレジット:Google

もっと近い将来の展開として、Googleは今後数カ月の間にリリースが予定されている新機能もいくつか発表した。中でも最も目を引くのは、屋内の案内に対応したライブビュー機能だろう。このAR道案内機能はこれまで、屋外でしか機能しなかったが、ユーザーがどこにいるかを(GPS信号が届かなくても)正確に認識する技術が進歩したおかげで、屋内でも利用できるようになったという。この機能はすでに、米国のシカゴ、ロングアイランド、ロサンゼルス、ニューアーク、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトルの一部のモールで提供されてるが、今後数カ月のうちに、東京とチューリッヒの一部の空港、モール、交通機関の駅でも提供が始まる予定だ(ちょうどワクチンが届いて、旅行が回復する時期かもしれない)。Googleによると、同社はユーザーの周囲の映像をデータベースと比較することで位置を特定できるという。それによって、例えばユーザーがチューリッヒ空港のどの階にいるのかわかるため、ゲートまで案内することが可能になるというわけだ(私の経験では、空港ほど案内板が充実している場所はないのだが……)。

また、Googleマップには新たに気象データ(気象レーダーではない)と大気質のレイヤーが追加される。各地の天気を表示する気象レイヤーは今後数カ月のうちにAndroidとiOSでグローバルに利用可能になる予定だが、大気質レイヤーは、まずオーストラリア、インド、米国のみで導入される。

画像クレジット:Google

大気質といえば、Googleマップでは、経路検索で自動車を選んだ際に、新たに二酸化炭素の排出量が最も少ないルートを提示する、エコフレンドリーなルート検索オプションが追加される(AndroidとiOSで2021年後半に利用可能になる予定)。また、欧州では、多くの都市で採用されている低排出ガスゾーンがついにサポートされる。これは6月にドイツ、フランス、スペイン、英国で、AndroidとiOSで提供が始まる。その後、さらに多くの国で対応する予定だ。

さらに、Googleは道案内のインターフェースをアップデートし、すべての交通手段やルートの選択肢を、ユーザーの好みや、その都市における人気の高さに応じて(例えば、ニューヨークなら地下鉄、ポートランドならレンタルバイクなど)優先順位をつけて表示するようになる。

また、Instacart(インスタカート)やAlbertsons(アルバートソンズ)との提携により、道路の路肩で食料品を受け取る際のオプションが新たに統合された。

Googleの発表ではよくあることだが、同社が披露した最もエキサイティングな新機能はいつから利用できるのか予告がなく、そのまま導入されない可能性もないわけではない。今はひとまず、Googleマップで天気予報が見られるようになったことで我慢しながら待つことにしよう。

関連記事:Googleマップが歩行者のためのナビ「Live View」を拡張現実で実装

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogleマップ地図AR

画像クレジット:Sundry Photography / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。