ケビン・コスナーとロードトリップしたい?投資家たちはみんなそうだと確信している

Woody Sears(ウッディ・シアーズ)氏は以前からストーリーテリングに関心を抱いていた。2007年に初めてiPhoneが登場した後、iPhoneとiPad向けに児童書のナレーションと挿絵のライブラリを構築したストーリーテリングアプリのZuukaの基礎を作った。

シアーズ氏は後に、その会社をニューヨークを拠点とする小さな会社に売却した。だが、カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とするシアーズ氏は、まだストーリーテリングを終わりにしたわけではなかった。その代わりに、2番目の会社となる新たなストーリーテリングのスタートアップであるHearHereのために160万ドル(約1億7571万円)の開業資金を調達したところだ。そのサブスクリプションベースのオーディオ・ロードトリップ・アプリでは、ユーザーが許可すると運転中にプッシュ配信し、3~5分の番組で、まったく知ることのなかった興味深い場所などの、周辺についてのちょっとした情報を提供する。

その狙いは地域の無名、あるいは忘れられた歴史を浮上させることだ。こうしたことは、より多くの人々がロードトリップを再びし始め、TikTokから子どもたちの注意をそらせたいと切に願う親たちが増えた世の中では意味がある。実際、シアーズ氏の隣人であるKevin Costner(ケビン・コスナー)氏は、こうしたアイデアに賛同し、最近、この5人のチームに共同創設者、ナレーター、投資者として参加した。Snap Inc.、法律事務所のCooley、Camping WorldのCEOであり、リアリティTVのスター であるMarcus Lemonis(マーカス・レモニス)氏、AAAやNextGen Venture Partnersも含めた多数の個人投資家たちもともに参加している。

私たちも歴史やロードトリップが(本当はケビン・コスナー氏が)好きなので、先ほど、シアーズ氏とコスナー氏に、他のリッチコンテンツのジオロケーションベース・アプリが本格的な選択肢として不十分な中で、なぜHearHereが成功すると考えるのかを聞いた。

以下、長さに関して軽く編集した会話の抜粋。

TechCrunch(以下、TC):米国のオーディオマップを作成されていますが、現時点でどの位のストーリーが用意されていますか?

ウッディ・シアーズ氏(以下、WS):22州全体で5500話までのストーリーが完成していて、夏までに全国を網羅する予定です。その地域の歴史、自然、個性的な人物たちのストーリーを提供して、旅先と人々を結び付けるのが目的です。また、スポーツや音楽のストーリーでローカル・インサイトも提供していきます。

TC:収集して、編集、録音するコンテンツがたくさんありますね。進行の様子はいかがですか?

WS:結局のところ、コンテンツが最も重要なので、トラベルジャーナリズムの経歴を持つ、リサーチャー、ライター、編集者、ナレーターから成る22人のチームで、最新の注意を払いながらストーリーを制作しています。そうしたチーム・アプローチで、最高の結果が得られると心底感じています。

最終的にはサードパーティーのコンテンツコントリビューターに開放して、プロのコンテンツとユーザー生成コンテンツの両方をホストしていく予定です。

TC:AIのコンポーネントはありますか?もしくは、これから用意する予定はありますか?

WS:このアプリは、旅行中にストーリーが風景に重ね合わされ、異なる視点を提供するという点で、むしろ拡張現実だと考えていますが、AIや機械学習は外国語やエンドユーザーのニーズにより合わせたコンテンツをてがけ始めたら組み込んでいく予定です。

TC:コンテンツ・ライブラリーを構築する際に、伝えるストーリーにはどのように優先順位を付けていますか?

WS:主要な歴史的な場所は非常に魅力的ですが、あまり知られていないすばらしい場所も探しています。それから、どの高速道路を使い、どの景色の良いルートが好まれるのかという、観光旅行の際の移動方法にも注目しています。

TC:サブスクリプションの内容はどのようなものですか?

WS:毎月5話のストーリーを無料で利用できます。無制限のストリーミングは年間35.99ドル(約3952円)です。

TC:ケビンさんには、多くのスタートアップの提案や投資の機会があったと思います。なぜこれに深く関わるようになったのですか?

ケビン・コスナー(以下、KC):どう見ても私はストーリー志向なので、このように関わるようになったことを誰も驚きませんでした。でも、あなたの言うとおり、多くの提案はされてきました。

HearHereについては、ウッディが私と話したいことがあるのだと、妻から伝えられました。彼女がそれを説明してくれたので、どんなものかを知ったのです。特に私たちの国に関して、ストーリーテリングをしたり、良いストーリーを生み出す力があるというのは、とてもすばらいく感じました。

だから、ミーティングを開いてコンセプトを説明してもらいました。その内容は、どこに行っても記念プレートに立ち寄り、歴史的意義について読むという、私がこれまでずっとしてきたことに似ていました。立ち寄っていると、みんなの旅行を妨げることになりますけどね(笑い)。クルマに残っている人たちは、立ち止まったせいで不満げですが、外に出て脚を伸ばし、少しばかり歴史について読んで、想像を膨らませたりしていたんです。

私にとって、この製品はその延長線上にあります。発展したより詳しいストーリーを車から降りることなく聞くことができるのです。車で通り過ぎていたものにも、もっと関わることができるし、同乗者たちも、私が立ち止まるほど引き付けられた魅力を感じることができるかもしれません。

画像クレジット:Hearhere

TC:歴史がお好きなんですね。

KC:HearHereは歴史だけではありませんが、私は歴史に引きつけられました。こうして、この会社にもっと関わりたいと考えるようになり、さらに知ることで、創設者として参加したいと思ったのです。

TC:AAAやCamping Worldが戦略的投資家となっています。彼らはどのようにアプリを宣伝していくのでしょうか?また、適切なタイミングでHearHereを発表するために、他にどのようなパートナーシップを締結しましたか?

WS:Camping Worldは世界最大のRV(Recreational Vehiclem,レジャーを楽しむためのクルマ)オーナーの組織であるGood Sam Clubも所有し、AAAは米国に5700万人の会員がいる巨大組織です。このアプリのことは、現在オーディエンスに提供していないサービスを実現させる手段だと捉えられています。デジタルへの架け橋となるこのアプリをこうした会員や顧客に提供できることを本当に喜ばしく感じています。

また、(RVマーケットプレイスの)OutdoorsyやRVshare、そして、(RVレンタルおよび販売会社の) Cruise Americaとも提携しています。今話題のマーケットです。

TC:これまでも似たようなアイデアがありました。カテリーナ・フェイクのFinderyは、ユーザーがその場所の詳細を知るのに役立つことを目指した初期のアプリでした。Grouponの共同創設者のアンドリュー・メイソンが設立したスタートアップのDetourは、都市のウォーキング・オーディオ・ツアーを提供していました。興味深いものでしたが、人気は出ませんでした。このスタートアップがうまくいくと考える理由は何ですか?

WS:Detourは好きでしたよ。私は両方とも、とても気に入っていました。

Detourがプロダクトマーケットフィットを逃したのは、使えるシナリオの数や、ユーザーの時間を得る必要があったからだと思います。私たちがロードトリップから始めようと決めたのは、囚われの聴衆がいるからです。歴史を探索する際に、本やツアーガイドなどのあらゆる選択肢がある町中とは違い、運転中はできることがあまりありません。それに、歩き回っているときは気が散り、2時間ほど割く必要もあります。

私たちは旅の途中にある、あまり知られず、語られていないけれども人を魅了する場所を捉えていきたいと考えています。短時間の形式で始めるのが功を奏することでしょう。オンデマンドなので、あらかじめ指定されたルートに従う必要はありません。左折したり、右折したりしなくてはならない、特定のツアーに連れて行くわけでもありません。どんなルートを取っても、ストーリーを提供していきます。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:HearHereケビン・コスナーロードトリップアプリ

画像クレジット:Yellowstone

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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