ディー・エヌ・エー(DeNA)が8月6日に発表した2015年3月期第1四半期決算は、売上収益が358億1900億円(前年同期比31.3%減)、営業利益が69億7500万円(同59.0%減)、四半期利益は40億3300万円(同59.2%減)となった。
コイン消費の減少が顕著に
ゲーム事業におけるコイン消費の減少が顕著になっている。国内コイン消費は376億円(前四半期比23.8%減、前年同期比31.4%減)、海外のコイン消費は4億ドルだったが、主力タイトルでコイン消費の減少が続いている。ゲームの開発リソースの8割を占めるアプリゲームでは新規タイトルを複数準備しているそうだが、現時点ではメガヒットとなるタイトルにも恵まれておらず、苦しい状況が続いているようだ。
ゲーム以外の新事業で活路を開けるか
同日の決算会見でディー・エヌ・エー(DeNA)代表取締役の守安功氏は、改めて同社の経営方針を説明した。ゲーム事業については、「爆発力を持つ主力事業」(守安氏)として引き続き注力するが、一方で「同時に中長期で成長する構造的な強みを持つ新規事業」を創出することを目指す。
ゲームに関しては、タイトル数ではなく品質を重視した開発体制に変更。欧米や中国では有力IPもののタイトルリリースを準備しているという。同日はLINEがgumiとの提携や100億円規模のゲーム向け投資ファンドの設立を発表したばかり。守安氏は決算説明会で「詳細は把握していないが、日本のゲーム、コンテンツ産業は海外でもっとプレゼンスを発揮するべき。その取り組み自体は日本の産業にプラスになると思うので、ポジティブかネガティブかといえばポジティブにとらえている。(自社の戦略に)変化を与えるようなことではない」と語る。
新規事業では、大きく(1)コンテンツ/コミュニケーションプラットフォームと(2)インターネットによるリアル巨大産業の構造変革——の2つの領域に挑戦する。
(1)に関しては、すでにマンガ雑誌アプリの「マンガボックス」が7月11日時点で500万ダウンロードを突破しているそうだ。またライブストリーミングサービスの「SHOWROOM」もフジテレビジョンと共同で地上波放送との連動などを実現しており、8月からはソニー・ミュージックエンタテインメントとの連携も始まるという。
コミュニケーションサービスについては今後提供されることになるが、「LINEのような次世代のデファクトサービス、そしてデファクトサービスほどのユーザー数は見込めなくともスティッキーな(べたべたとした、ユーザーが居続ける)サービス」を開発するそうだ。とは言ってもメッセージングサービスの「comm」ではLINEに追随することはできなかった同社(commのFacebookページも2013年9月以降更新されていないようだし)。はたしてどういったサービスを展開するのか気になるところだ。
また(2)については、すでに発表されている遺伝子検査サービス「MYCODE」を軸にしたヘルスケア事業を展開するとした。MYCODEは8月12日よりサービスを開始する予定。すでにAmazon.co.jpなどで事前予約が可能となっている。価格は検査内容にあわせて9800円から2万9800円まで3つから選択可能。守安氏によると現状2万9800円のプランへの申し込みが多いそうだ。だが、遺伝子検査だけでは継続的なユーザーの利用は見込めないように見える。
この点に関して守安氏はまずはユーザー拡大に務めるとした上で、「結果自体をアップデートするし、スティッキーなサービスにしていく。また、健康の維持改善のアドバイスなのか、商品なのかは分からないが、MYCODEを起点にして継続的にお金を支払ってもらえるようにしていく」と説明した。ちなみに遺伝子検査のビッグデータを活用したサービスの可能性について開錠のアナリストから質問がなされたが、「優秀なエンジニアはいるので、できることはある。しかし何かしら医療関連で事業化できるかというと、具体的に進めている案件はない」(守安氏)とのことだった。
M&Aも視野に入れたベンチャー投資も
さらにベンチャー投資についても説明した。同社では2013年後半から戦略投資推進室(この名称になったのは2014年1月)を立ち上げ、ベンチャー投資にも注力し始めている。決算説明会では「モバイルゲーム」「IP創出プラットフォーム」「コミュニケーションプラットフォーム」「リアル産業の構造変革」というキーワードで重点分野を紹介。今後はM&Aまでを視野に入れて投資を進めるとしている。この投資事業に関しては、決算前に個別に詳細な話を聞くことができたので、近日中にその内容も紹介したい。