コンピュータを生みエニグマを解読した英国の施設が新型コロナウイルスの影響で存続の危機に陥っている

Bletchley Park(ブレッチリー・パーク)は英国のカントリーハウスで、第二次世界大戦中に連合国の最も重要な暗号解読活動の中心として利用された。ここで世界初のプログラム可能なデジタル電子計算機が作られ、エニグマの暗号を解読し、その結果ナチス・ドイツとの戦いの形勢が変わった。そして今、こうした歴史を保存する施設が危機に瀕している。

英国の国立コンピューティング博物館も置かれているこの施設を運営しているブレッチリー・パーク・トラストは、新型コロナウイルス(COVID-19)ウイルス感染拡大の影響により財政が厳しくなっている。現在、収入の95%が失われ、年間予算が大幅に足りない。

何らかの措置、または外部からの支援がなければ、ブレッチリー・パーク・トラストは今年、感染拡大により200万ポンド(約2億8000万円)の減収となり、存続のために従業員のおよそ3分の1にあたる35人を解雇しなくてはならない。

ブレッチリー・パークのCEOであるIain Standen(イアン・スタンデン)氏は声明で次のように述べている。「たいへん残念なことだが、トラストでは人員削減を実施せざるを得ない。我々はブレッチリー・パークで重要な遺産の展示と博物館の構築に大きな成功をおさめてきた。その最も重要な強みは人材だ。しかし現在の危機による経済的な打撃はトラストの存続に深刻な影響を及ぼしている。あらゆる手段を講じてきたが状況は改善せず、トラストを存続させ未来に残すために今、行動しなくてはならない」。

ブレッチリー・パークは2020年3月19日に公開を中止し、7月4日に再開した。しかし有料入場者数はきわめて少なくなっている。

画像クレジット: Wikimedia Commons

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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