サイバーセキュリティの格付けを行うBitSightがサイバーリスク評価VisibleRiskを買収、ムーディーズも約275億円出資

組織が攻撃される可能性を評価するスタートアップ企業のBitSight(ビットサイト)は、信用格付け大手のMoody’s(ムーディーズ)から2億5000万ドル(約275億円)の出資を受け、イスラエルのサイバーリスク評価スタートアップであるVisibleRisk(ヴィジブルリスク)を非公開額で買収した。

ボストンに本社を置くBitSightは、サイバーリスクが信用格付けに影響を与える可能性があることを長年警告してきたムーディーズから出資を受けたことにより、サイバーセキュリティ・リスク・プラットフォームの構築が可能になると述べている。一方でムーディーズは、BitSightのサイバーリスク・データおよびリサーチを、同社が提供する統合リスク評価に活用することを計画しているという。

この出資により、BitSightの企業価値は24億ドル(約2640億円)となり、ムーディーズは同社の筆頭株主となる。

ムーディーズの社長兼CEOであるRob Fauber(ロブ・フォーバー)氏は、声明の中で次のように述べている。「透明性を高め、信頼を可能にすることは、ムーディーズの使命の中核をなすものです。BitSightはサイバーセキュリティの格付け分野におけるリーダーであり、我々が協力することによって、さまざまな分野の市場参加者がサイバーリスクをより深く理解、測定、管理し、それをサイバー損害のリスクに変換することができるようになるでしょう」。

その一方でBitSightは、ムーディーズとTeam8(チームエイト)が設立したサイバーリスク格付けのジョイントベンチャーであるVisibleRiskを買収したことによって、BitSightのプラットフォームに詳細なサイバーリスク評価機能が加わり、サイバーリスクに対する組織の財務的エクスポージャーをより適切に分析・算出できるようになる。VisibleRiskは、これまでに2500万ドル(約27億5000万円)を調達しており、同社のいわゆる「サイバー格付け」は、サイバーリスクの定量化に基づくもので、企業は同業他社と比較して自社のサイバーリスクをベンチマークし、サイバー脅威が企業に与える影響をよりよく理解し、管理することができると述べている。

BitSightはVisibleRiskの買収後、リスクソリューション部門を設立し、チーフリスクオフィサーとCスイートの最高幹部たち、取締役会を含むステークホルダーに、重要な一連のソリューションと分析結果を提供する。この部門は、VisibleRiskの共同設立者であり、ムーディーズのサイバーリスクグループを率いていたDerek Vadala(デレク・ヴァダラ)氏が率いることになる。

BitSightの社長兼CEOであるSteve Harvey(スティーブ・ハーベイ)氏は、ムーディーズとの提携とVisibleRiskの買収により「デジタル化が進む世界における顧客のサイバーリスク管理を支援する」範囲を拡大することができると述べている。

2011年に設立されたBitSightは、これまでに総額1億5500万ドル(約170億5000万円)の外部資金を調達しており、直近ではWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)が主導した6000万ドル(約66億円)のシリーズDラウンドを終了している。500人弱の従業員を擁し、各国政府機関、保険会社、資産運用会社など、世界中に2300を超える顧客を持つ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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