サブウーファーをウェアラブル化したBasslet、Kickstarterキャンペーンを展開中

basslet_02

SXSW 2016にて、サブウーファーをウェアラブル化したBassletのプロトタイプに触らせてもらう機会があった。開発したのは、ベルリンのスタートアップであるLofeltだ。率いるのはCEO兼共同ファウンダーであるDaniel BüttnerおよびCTO兼共同ファウンダーのGwydion ap Dafydd(それぞれAbletonとNative Instrumentsを率いていた経験をもつ)だ。最初はほとんど興味を持っていなかったのだが、使ってみると返すのを残念に感じてしまった。

音楽を聴いたり、あるいは音楽を奏でる際にこのデバイスを使うと、低音域の音が鳴るのに応じてバイブレーションするのだ。最長で6時間利用することができるそうだ。もちろん外部に音漏れするようなことはない。

わたし自身もベースを弾いたりするので、低音域への意識は過剰気味であったりするかもしれない。しかし部屋の中や車に何台ものサブウーファーを用意して悦に入るようなタイプではない。

そんな私がこのBassletを使ってみると、まずは慣れるのに少々時間がかかった。腕に装着して音楽を聴いてみると、バイブレーションの激しさが気になってしまったのだ。しかし音楽に同期するバイブレーションを感じるうちに次第に慣れてきて、腕に与えられる振動ではなく、音楽のもたらすバイブレーションに感じられるようになってきたのだ。つまりBassletが、バイブレーションを感じる「感覚」を変化させたわけだ。

もちろん、クラブやコンサートに出かけるような感覚が得られるとは言わない。そうした場所における、スピーカーが会場の空気を震わせる感覚というのは独特のものだろう。しかし音楽を「体感」することができるようになるし、なんといってもデバイスの小ささが大きな魅力だ。

Basslet_03

このデバイスを装着してしばらく音楽を聴くと、Bassletなしに聴く音楽が「物足りない」ものにも感じられる。

実はこれまでにもSubPac(バックパック型のサブウーファー)などを試してみたことはある。なかなか面白いデバイスではあったが、サイズの大きさもあって、家庭で音楽を楽しんだり、あるいはゲームをするときに使うものだと感じていた。このBassletはモバイルを強く意識し、音楽ファンに新しいエクスペリエンスを提供しようとするものだと言うことができると思う。

「LoSoundエンジン」なるものを搭載し、10-250Hzの低周波数に反応するのだとのこと。試させてもらった段階ではプロトタイプのものではあったが、特許申請中であり、今のところは名前も明かせないものの、いくつものゲーム関連企業からパートナーシップの申し入れが届いているのだそうだ。さらに自動車関連からの問い合わせもあるのだとのこと。

とりあえず単体でみた場合、「誰もが欲しがる」デバイスではなさそうだ。しかし音楽好きには十分受け入れられそうだし、ゲームマニアにとっても面白いデバイスと注目されそうだ。

ロックンロールを何100曲も演奏してきた経験から思いついたのだが、ひどい音響空間の中で演奏する際に、バンドメンバーがこのデバイスを装着してリズムを外さないようにするという、実際的な用途にも使えるのかもしれない。

本デバイスは現在Kickstarterキャンペーンを展開中だ。ただしHorizon Venturesからも資金を調達していて(額は未公開)、2017年の第1四半期中にシリーズAを実施する予定もあるのだそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。