米国時間5月14日、米国サンフランシスコ市監理委員会は、警察など市当局が顔認証技術を使用することを禁じる条例案を可決した。サンフランシスコ市の監理委員Aaron Peskin氏が提案した「Stop Secret Surveillance Ordinance」は、米国の主要な都市が導入するこの手のものとしては初となる。
「これはテクノロジーに反対する策ではないことをはっきりとさせておきたい」と火曜日の監理委員会の会合でPeskin氏は話した。Peskin氏は条例案の禁止要素の強調を抑え、その代わりカリフォルニア州Jerry Brown知事が署名して昨年施行された抜本的なデータプライバシー改革の当然の成り行きであり、そして同州の他の郡部での動きの延長線上にあると位置付けている。2016年、サンタ・クララ郡はサンフランシスコの監視政策に先駆けた独自の条例を通過させたが、この条例には禁止は含まれていない。
条例は、監視技術の使用を安全で信頼できるものにし、どれくらいの期間データが保存され、だれが閲覧できるのかといったことを市民が決められるようにするための確かな方策だ、とPeskin氏は説明した。
条例案は、サンフランシスコディストリクト2の監理委員Catherine Stefani氏が反対したが、8対1で承認された。反対したにもかかわらずStefani氏は、この条例は「法律化がかなり意図されている」とし、意見の相違を敬意をもってさばいた委員会の能力に賛辞を送った。先週、ルール委員会は提案された条例案について採決をとることを決めていた。
さらに重要なのは、この条例には市当局が新たな監視設備を導入するには事前に承認を得る必要があることも含まれていることだ。禁止は顔認証技術を開発する企業には影響を与えないが、この技術を市当局に売り込んでいる企業には影響を及ぼす。
新たな監視設備を購入するのに市当局は承認を得なければならないが、警察のボディカメラやライセンスプレートリーダーなど導入済みのものはそのまま使うことができる。監理委員会は、条例がそうした導入済みの設備の責任ある使用にもつながることに期待を示した。
顔認識技術の論争を巻き起こすような要素の中で最たるものが、すでに有色人種コミュニティがかなり監視されているという技術の偏った影響だ。最近の研究では、非白人は白人に比べて正確に認識されておらず、特定の人種に対する嫌疑を技術そのものに盛り込んでいるという矛盾があるとされている。
この顔認証の禁止は、監視反対派のグループと、高度な技術による監視に賛成するグループの間で議論を巻き起こしている。禁止支持派には、ACLU(米自由人権協会)、電子フロンティア財団、そしてオークランドプライバシーのような地元のグループが含まれる。
「もし顔認証の使用に規制がなかったら、顔認証による監視は市民を抑圧し、差別的な監視を助長し、公共の場での市民のあり方を根本的に変えてしまうだろう」とACLU北カリフォルニア支部のMatt Cagle氏やオークランドのプライバシー諮問委員会の委員長Brian Hofer氏は条例に賛成する意見を表明した先週の寄稿に書いている。
他の自治体も顔認証技術の禁止を検討しているが、サンフランシスコの検討が最も進んでいる。例えば、ワシントン州の法案では顔認証ソフトウェアをサードパーティにオープンにする必要がある。その場合、主要テック企業は、顔認証やその他の監視技術を展開する際に侵入を許すことになり、そうした中でのビジネス展開のコストを計算している。
サンフランシスコから橋の向こうに位置するオークランドやバークレーも「Surveillance and Community Safety Ordinance」「Surveillance Technology Use and Community Safety Ordinance」という顔認証技術に対する規制を検討中だ。サンフランシスコ湾岸地帯東側もサンフランシスコの投票に続くかもしれない。
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(翻訳:Mizoguchi)