サーバーレスCMSのWebinyがサーバーレス開発フレームワーク提供のために資金調達

2019年にオープンソースのサーバーレスCMSを発表した、アーリーステージのスタートアップWebiny(ウェビニー)は、CMSの構築を支援するフレームワークも開発していた。しかし同社はまた、顧客が自身のサーバーレスアプリの構築を支援する環境にも興味を持っていることに気が付いた。米国時間8月18日、Webinyはこの2つの製品の開発を継続するために、350万(約3億8400万円)ドルのシードラウンドを発表した。

今回のラウンドを主導したのは、Microsoft(マイクロソフト)のベンチャーファンドであるM12だ。そしてSamsung Next、Episode 1、Cota Capital、その他無名の投資家たちが参加している。同社は2019年に、34万8000ドル(約3817万円)を調達している。

Webinyの創業者であるSven Al Hamad(スベン・アル・ハマド)氏によれば、同社を立ち上げたときにはサーバーレスが未来になることを予感し、オープンソースのサーバーレスCMSを作ることから始めたそうだが、その後おもしろいことが起きたのだという。

「私たちは、実際に声をかけてきた300社以上の企業さんと話をしましたが、彼らもまた、未来はサーバーレスインフラの上に構築されると考えていたのです。彼らは私たちが構築したCMSにも興味を持っていましたが、それ以上に興味を持っていたのが私たちがそのCMSを構築した方法でした。なぜなら、彼らもサーバーレスを試みながら、満足のいく結果を得られていなかったからです」とアル・ハマドは説明する。

そのことによって、Webinyチームが、CMSを構築するためにその基盤となるサーバーレスフレームワークの構築に大半の時間を費やしていることが明らかにされた。このことからアル・ハマド氏は、フレームワークとCMSの両方をマーケティングして販売するべきなのではないかと考え始めたのだ。

「いまでもCMSに対する興味はたくさん寄せられています。しかし、多くの企業は、コンテンツプラットフォームの一部にCMSを利用するだけでなく、カスタムAPIやカスタムビジネスロジックを構築しすべてをサーバーレスで実現するという、両方の機能を求めていたのです」と彼はいう。

関連記事:サーバーレスとコンテナは両者を一緒に使うのがベストプラクティスだ

こうして、アル・ハマド氏は自分のスタートアップには2つの製品があることに気が付き、会社を成長させるための新たな資本を得ることとなったのだ。彼は今でもコミュニティの構築に取り組んでいて、1000人近い開発者が参加するSlackコミュニティを主催している。この先の目標は、この資金を使って、オープンソースで提供している製品の上に、商用製品の構築を開始することだ。

そうした商用製品には、複雑な環境に対応する管理機能、シングルサインオン、より優れたセキュリティなどを備えた、ある程度のエンタープライズ機能が必要になる。

サーバーレスは、自動化された方法でインフラを提供する方法の1つで、開発者は正確な量のリソースが提供されるかどうかを心配することなく、アプリケーションの構築に集中することができる。しかしそのためには、関数やトリガーを書くなどの、非常に特殊なプログラミング方法が必要になる。Webinyのサーバーレスフレームワークは、開発者がこのような特殊なアプリと、それをすべて機能させるための仕掛けを構築できるように設計されている。

現在同社の従業員は9名で、2021年中に6名程度を追加する予定だ。アル・ハマド氏は、多様性は最重要課題だが、技術系人材のタイトな市場では課題が大きいという。「私たちは多様性について制約抜きに考えていますが、市場で実際にみつかる人材との兼ね合いが、そのバランスを見つけることを非常に難しくしています」と彼はいう。彼は、STEM分野でより多様な人材を育成するために、社会システム全体で努力する必要があるという。しかし彼は、困難にもかかわらず、多様なスタッフを探す努力を続けていくつもりだ。

現在従業員は分散しているというが、オフィスに戻れるようになったら、人が多くいるところにオフィスを開設して、いつでも自由に出社できるようにするつもりだという。

関連記事:理想のCMS開発運用環境としてサーバーレスを目指すWebinyが3700万円超を調達
画像クレジット:imaginima/Getty Images

原文へ

(文: Ron Miller、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。