サブスクリプション型の翻訳メディアを手がける日本のPeraPeraは4月20日、East Venturesおよび複数のエンジェル投資家から合計で37万3000ドル(約4000万円)を調達したと発表した。
PeraPeraは、海外著名人のブログポストなどを中心にシリコンバレー発の情報を翻訳して日本向けに提供するメディアだ。
例えば、ポール・グレアム氏が書いたブログポストなどにはスタートアップ業界からの注目が集まる。だが、英語が苦手な日本人にとって、それは読みたくても読めない情報だった。海外の情報に敏感なTechCrunch Japan読者のなかには、Google翻訳などを駆使して苦戦しながらも情報を集めているという人もいるかもしれない。辞書を引きながら読むという人もいるだろう。
そのような注目度の高い海外コンテンツを集め、日本語に翻訳して提供するのがPeraPeraだ。
現在、PeraPeraは無料プランと月額500円のプレミアムプランを用意している。無料プランのユーザーは記事の60%しか読めないという制限がある一方、プレミアムユーザーは記事の全文を読むことができる。また、プレミアムユーザーは次に翻訳される記事を決める「投票」に参加することも可能だ。
同社によれば、無料プランからプレミアムプランへのコンバージョン率は今のところ6%だという。
PeraPera CEOのMike Eidlin氏は、「ユーザーが増えて来れば、ブログポストの著者に収益の一部を還元する仕組みができる可能性もある」と語る。
ところで、TechCrunch JapanがEidlin氏に取材した当初、PeraPeraにはユーザー自身が日本語で読みたい海外記事を選んで翻訳料を少しずつ負担するという、いわゆるクラウドファンディング・プラットフォームに近い構想があった。
しかし、同社はその後に行ったユーザーへのヒアリングで「毎回読みたい記事を自分で選び、1つの記事ごとに支援する仕組みは面倒くさい」という声を聞き、よりメディアの形に近い、現在のビジネスモデルへとピボットしたようだ。
だが正直、Eidlin氏が当初から掲げている「記事翻訳料の負担をパブリッシャーからユーザーにシフトすることで、より多くの人が海外記事を読めるようにする」というPeraPeraのミッションが、このピボットによって薄れてしまったようにも思う。
ただ、前述したように、PeraPeraではユーザーが次に読みたい記事に「投票」することができる。つまり、人数が一定数以上集まると記事が翻訳されるという、ある意味でクラウドファンディングに近い仕組みがあるということだ。個人的に、僕はこの新しい仕組みがどの程度ワークするのかに注目している。
東京で生まれ、UCデイビスで日本語を専攻したMike Eidlin氏、そして彼のパートナーであるRaymond Lau氏は、PeraPeraを共同創業する以前にも「Bookmarq」やペットをテーマにしたSNSの「Cutesy」と呼ばれるサービスを開発してきた。「Bookmarq」は米500 StartupsのPre-acceleratorプログラム(2015年)にも選ばれている。
その後、Cutesyは約4万5000人のユーザーを獲得するまでに成長。元々、Eidlin氏は同サービスの拡大に必要な資金を調達するために来日していたが、その際に彼は、海外の良質な情報が翻訳されず日本のユーザーに十分に行き届いてないという状況を知る。そこで彼は成長していたCutesyを閉鎖し、Lau氏とともにPeraPeraを創業する決意をしたという。
同社は2017年2月よりPeraPeraのβ版を公開している。