ジャックフルーツで人工肉を作るシンガポール拠点のKaranaが1.8億円調達

シンガポールでは植物ベースの代替肉への需要が増しているようだ。事実、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)、Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)、Quorn(クォーン)といった企業の製品への関心度は、このパンデミックの間にも上昇している。その理由には「消費者が健康重視の選択をするようになったことがある」とシンガポールの大手新聞であるThe Straits Time(ザ・ストレーツ・タイムズ)は書いている。そしていま、この市場に新規参入者が登場した。シンガポールに本社を置くKarana(カラナ)は、米国時間7月9日、シード投資として170万ドル(約1億8000万円)を調達し、最初の製品の発売計画を発表した。ジャックフルーツを原料とする豚肉の代替品が今年中に発売される。

Karanaのシードラウンドには、Quorn Foods(クォーン・フーズ)を2015年に買収したMonde Nissin Group(モンド・ニッシン・グループ)のCEOであるHenry Soesanto(ヘンリー・ソエサント)氏、アグテックの投資企業Big Idea VenturesとGermi8、そして、食品と清涼飲料水の業界で豊かな経験を持つ香港の起業家でエンジェル投資家のKevin Poon(ケビン・プーン)氏とGerald Li(ジェラルド・リー)氏が参加している。Karanaによれば、このラウンドにはさらに、名前は未公開ながらアジアを拠点とするFMCG(日用消費財)の大手卸売り業者も含まれているという。

Karanaは、ジャックフルーツを、すでにそれが代替肉として定着しているスリランカから仕入れている。Karanaの処理技術によって、豚の挽肉や細切れ肉の食感がうまく再現されており、餃子、肉まん、バインミーといったレシピに簡単に使える。

2018年、Dan Riegler(ダン・リーグラー)氏とBlair Crichton(ブレア・クライトン)氏によって創設されたKaranaは、有機栽培のジャックフルーツを、独自の機械的技術によってポークの代替肉に加工する。同社によれば、化学処理は一切行っていないという。この代替ポークは、今年中にレストラン向けに出荷される。小売店に並ぶのは来年からだ。

リーグラー氏とクライトン氏は、Karanaがジャックフルーツを使う理由は、「天然の肉に似た食感」のみならず、環境に優しい作物だからだとTechCrunchに電子メールで話してくれた。通常これは、間作物として(またはほかの作物と同じ畑で同時に)栽培され、収穫量は多く、水をあまり必要としない。だが、現在収穫されているジャックフルーツのおよそ60パーセントは廃棄されていると彼らは言う。「将来、商品化される余地が十分にあります。つまり、農家の新たな収入源になるということです」。

Karanaの創業者が手始めにポークを選んだのは、それがアジアで最も多く消費されている肉だからだ。今回のシード投資は新製品の研究開発に使われる。また同社は、アジアの戦略的パートナーとの話し合いも進めているという。将来Karanaの製品には、アジアで生産される他の作物を使った別の代替肉も加わる予定だ。

「Karanaは、完全な植物由来肉のメーカーです。私たちの目標は、自然が私たちに与えてくれるものを利用し、その驚くほどに多様な生物食材を最大限に活かしておいしい製品を作ることです。将来、ポーク以外の代替肉の製造を可能にするその他の地産作物を使った製品も発売します」と彼らは話す。「そこが、全般的に加工された農産物製品に依存している他社との最大の違いです」。

画像クレジット:Karana

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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