開発者でない人がスプレッドシートからソフトウェアを作れるようにするStackerが、シードラウンドで170万ドル(約1億8000万円)を調達したと発表した。
StackerはTechCrunchが2020年にずっと追いかけてきた、ノーコード、ローコードの成長市場に属する企業だ。しかしノーコードに対する同社のアプローチも新たな資金の調達も、検討に値する。
StackerのCEOであるMichael Skelly(マイケル・スケリー)氏は、Stackerのアイデアを資産運用の会社にいたときに思いついたという。その会社で同氏はSalesforceのプラットフォームを利用して社内アプリを構築していた。やがて支援サービスなしではプロセスが困難になり、チームがエンジニアリングを必要とするときに、それが動作のちょっとした変更であっても開発者が対応してくれるまで長く待たされることに気づいた。
Salesforceのプラットフォームでツールを作っていた経験を振り返って、スケリー氏は企業内の技術者でないエンドユーザーがオリジナルのアプリを作るのに役立つものを開発することにした。何が必要かを一番よく知っているのはエンドユーザーだからだ。
この考え方は、ノーコードの分野に関わったことのある人にはすでにおなじみだろう。技術系でないチームがオリジナルのアプリを作れるようにするのは、当たり前の取り組みといえる。しかしStackerは、スプレッドシートにデータを入力する方法は知っていて、ゼロからアプリを作りたいわけではない人々を対象にしようとしている。
Googleスプレッドシートや人気のAirtableのユーザーは、Stackerを使ってスプレッドシートからアプリを作ることができる。スケリー氏は、スプレッドシートをある種のソフトウェアを作るために使っている人は多いと見ている。同氏の考えでは、スプレッドシートは開発者でない人がオリジナルのソリューションを作るためのとりあえずの解決方法だ。そこでスプレッドシートを本物のアプリにしてエンドユーザーが手を加えられるようにすれば、技術系でないチームが自分たちで解決できる。
Stackerの手法は、ユーザーがゼロからのスタートで何もない画面にボタンを追加することから始めなくてはならないという問題も解決する。このサービスでは、ユーザーが選択したGoogleスプレッドシートまたはAirtableからアプリを作り始めることができるからだ。
ユースケースとしては少ないように思えるかもしれないが、そんなことはない。スケリー氏はTechCrunchのインタビューで、開発者でない人が大規模なプロジェクトを構築できるようにしようとしているのではなく、気の利いた社内アプリを作れるようにすることを目指していると明言した。こうした市場があることは明らかで、Stackerにはすでに500社の顧客がいる。TechCrunchでは2020年8月、同社がY Combinatorのデモデイに参加したときに同社の顧客数が250社とお伝えした。現在では、同社は年間経常収益が100万ドル(約1億400万円)に達したと説明している。この3つの数字から、同社の成長率を推測することができる。
Initialized Capitalが今回のラウンドを主導し、Y Combinator、Pioneer Fund、Makerpadが参加した。資金調達は2020年9月に完了していたが、年末年始を避けるために米国時間1月26日に発表された。シードラウンドはたいていこれぐらいのタイムラグがあるが、Stackerも結果的にそうなった。
分散して働く12人から成るStackerのチームは、これからどうするのだろうか。スケリー氏はTechCrunchに対し、Stackerは単なるポータルやシンプルな用途だけでなく、日常的に使われるアプリの作成にも利用されていると述べた。そこで同社はこうした用途をさらに強化し、SaaSアプリのように多くのデータソースをリンクして、リッチなアプリのユースケースに対応できるように投資をしていく意向だ。
最後になるが、Stackerは誰に向けて販売されているのか。顧客の大半は中小企業だと同社は説明している。大企業の社内には開発リソースがあるのだから、これは当然だ。しかしStackerは誰に向けて販売されるのだろうか。インタビューの最後でTechCrunchは冗談まじりに、早期にAirtableにイグジットしないようにと言った。スケリー氏は、5年後には自分の会社がAirtableを買収するとあちこちで話しているそうだ。これはいい答えだ。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Stacker、資金調達、ノーコード
画像クレジット: Markus Spiske / Unsplash(画像は調整しています)
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(翻訳:Kaori Koyama)