スペル・文法チェッカーのGrammarlyがビジネス文書を向上させる新機能を公開

人気のスペル・文法チェッカーのGrammarlyが、米国時間9月29日に有料ユーザー向けの新機能を公開した(Grammarlyブログ)。これまでのツールをさらに進化させ、全体として形の上で正しいだけでなくもっと読みやすい文章を書けるようにサポートする。具体的には、明確になるように文章を再構成したり、読みやすくなるようにフォーマットを改善したりする(たいてい箇条書きを勧められる)のに役立ち、トーンの変更についてもアドバイスする。

さらにGrammarlyのUIもアップデートされ、新たにフローティングサイドバーが登場した。これによりGrammarlyからのアドバイスがすべて読みやすく表示される。

筆者はGrammarlyのNicholas Stanford(ニコラス・スタンフォード)氏から新機能の説明を受けた。同氏は、文章を書く人は、読む人を中心に置くことが重要だと強調した。これは書く人の多くにとって自然にできることではないが、要点を伝えるためには不可欠なことだ。

画像クレジット:Grammarly

スタンフォード氏は「世界中のほとんどの人にとって、書く文章の大半、特に重要な文章の大半は仕事のものだ。プロの書き手でなくても、メールやマーケティング資料、報告書を書くオフィスワーカーは増えている。そして書くことに自信がない人が多いことがわかった。書くのは難しい。理解してもらうこと、メッセージを伝えることは難しい。ちょっとした短いメールを受け取って『この人は私に対して怒っているのか?』と何度思っただろう」と説明した。

Grammarly独自の調査によると、同社のユーザーの75%が誤解されていることを恐れている。その一方で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大して在宅勤務の人が増え、仕事における文章の重要性は増すばかりだ。

今回リリースされたGrammarlyのライティングアシスタントのアップデートは、主に同社のAIをベースにしているがルールベースの部分も一部に残っている。AIに関しては、リライトのための新しいツールがおそらく最も興味深いだろう。一般に、Grammarlyのようなツールは単語レベルに着目し、それ以外では決まり文句を少し扱う程度だった。今回リリースされたツールでは、例えば複雑な文章を見て、もっと読みやすくなるように書き直す提案をすることができる。今後このツールをさらに賢くし、複数のパラグラフにまたがる文脈も理解できるようにする計画であるとスタンフォード氏は述べた。

画像クレジット:Grammarly

同氏は「現在はまだセンテンスレベルだ。我々はそれを拡大しようとしている。センテンスよりも長い文脈を考えないケースは極めて限られているからだ。このようなシステムでは、単に基本的な書き直しや長いセンテンスの分割を提案するだけでなく、長い文脈で見たときにセンテンスの意味が変わらないことが必要だ。これを実現するために、我々はバックグラウンドで動作して変更後のセンテンスが突然まったく違う意味になってしまうことを防ぐ2つ目のシステムを作った」と説明する。

読みやすさの向上については、1センテンスの中の長い列記の代わりに箇条書きを提案して文書の意味をとりやすくすることに主眼を置いている。このツールには日付や締切を検知して太字にし、目立たせる機能もある。

トーンの検出は、Grammarlyがここ最近取り組んでいる点だ。現在では文書がどのようなトーンかを指摘するだけでなく、改善のための提案もするようになっている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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