持続可能性な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、デブリ)除去サービスに取り組むアストロスケールホールディングスは10月14日、シリーズEの追加調達として、第三者割当増資により総額約55億円の調達を実施し、累計調達額約210億円を達成したと発表した。
引受先は、リードインベスターのエースタートが運用するASエースタート1号投資事業有限責任組合をはじめ、アイネット、清水建設、スパークス・イノベーション・フォー・フューチャーが運営する宇宙フロンティアファンド、ヒューリック。
アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業。 2013年の創業以来、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、今後打ち上がる人工衛星が寿命を迎えた際や恒久故障の際に除去を行うEOLサービスや、既存デブリを除去するためのADR(Active Debris Removal)サービス、衛星寿命延命措置(LEX。Life EXtension of geostationary satellites)、宇宙空間上での宇宙状況把握(SSA。Space Situational Awareness)、軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めてきた。
また、長期に渡り安全で持続可能な宇宙環境を目指すため、技術開発に加え、ビジネスモデルの確立、複数の民間企業や団体、行政機関と協働し、規範やベストプラクティスの策定に努めている。
現在アストロスケールは、本社・R&D拠点の日本をはじめ、シンガポール、英国、米国、イスラエルの5ヵ国約140名を擁し、グローバルに事業を展開。
英国では、軌道上でのサービス業務を行うミッション運用基盤として、最先端の国立軌道上サービス管制センターをオックスフォードシャー州ハーウェルに構築。2020年度打ち上げ予定としている大型デブリ除去実証衛星機「ELSA-d」(エルサディー)の運用に向け準備を進めている。ELSA-dでは、回転状態に対するデブリの捕獲や、非協力物体に対する近傍接近、ランデブ・ドッキング、軌道離脱を一連のシステムとして世界で初めて実証実験を行う予定。
また2019年開設の米国拠点では、デブリ問題に事業開発や法規制の面から取り組み、各業界リーダーや政策立案者と密なコミュニケーションを醸成。加えて、2020年6月には子会社のイスラエル拠点を設け、LEX技術の発展を担っている。
カテゴリー: 宇宙
タグ: アストロスケール(Astroscale)、資金調達、スペースデブリ、日本
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