スマホの大量の写真の中から保存しておく写真とシェアする写真を選ぶ作業は、過去のものになるだろう。EyeEmが発表した新しいアプリThe Rollを紹介したい。このiOSアプリはカメラロールの写真をコンピューター・ビジョンで解析し、画像にタグ付け作業と写真の良し悪しを判定する。
「The Rollはスマホのカメラロールを置き換えます」とEyeEmのCEOであるFlorian Meissnerは言う。彼は自分のスマホの何万枚もの写真を使ってアプリの技術を私に見せた。
The Rollは素晴らしい技術を搭載し、Appleが何年も取り組んでいた問題を解決する。既存のiOSのカメラロールは画像を日付や位置情報でグループ分けすることができるが、それでは熱心な写真家の抱える課題の一部しか解決しない。The Rollは写真の位置情報や日付だけでなく、コンピューター・ビジョンで写真を解析し、写真にタグ付けすることができる。これでユーザーは特定の写真をすぐに見つけ出すことができるようになる。
The Rollでは、写真にタグが付き、主題、位置情報、イベントごとにグループ化する。各カテゴリーの最も良い写真がトップに来る。似ている写真はまとまり、その中で最も美的スコアの高い写真を一番上に表示する。詳細画面では、写真のスコア、自動で付加したキーワード、写真家にとって意味のある絞り値、シャッタースピード、ISOなどのカメラ情報を表示する。
「初めてアプリをローンチする時、サムネール画像が私たちのサーバーにアップロードされます」とMeissnerは説明する。「画像を解析して、タグ付けを行い、その情報をアプリにダウンロードします。私たちのアルゴリズムは2万以上のキーワードを理解していて、画像に2つのスコアをつけます。1つは品質スコアで、もう1つは商業価値スコアです」。
エンドユーザーは品質スコアを知ることができるが、この機能は画像の良し悪しをユーザーに示す以上の意味合いがある。このアプリはユーザーが急成長するEyeEmのマーケットプレイスで写真を販売するために、良い写真をフィルタリングして選ぶのを助けることにつながるからだ。
「目標は私たちが毎日撮影している何兆もの写真をカテゴライズして、最も良いコンテンツをそこから浮かび上がらせることです」とEyeEmの共同ファウンダーでCTOのRamzi Rizkは、同社のEyeEm Vision のテクノロジーついて話す。この技術はEyeEmの写真マーケットプレイスのウェブアップロードツールにも搭載されていて、ウェブからも体験できる。「The Rollでは、その技術をあなたのカメラロールでも使えるようにしました」。
私はしばらくThe Rollを試してみているが、このテクノロジーは不気味なほど的確だ。写真のタグ付けは包括的で正確だ。例えば「猫」や「青」と検索すると、猫を含む写真や青色の写真を見つけることができる。「ロンドン」と「サイン」で検索した時は、何年も前の休暇の時に撮った写真を正確に見つけ出した。The Rollがなければ、特定の画像を探すのに何時間も画像をスクロールして探さなければならないだろう。
品質スコアも不思議と良い。確かに完璧ではないし、クラウドの写真の好みと私の好みが一致しないこともある。しかし、見るのに適さない暗い写真やぼやけている写真の表示順位は下がる。また、特定のイベントやキーワードに紐づく写真の中で最も良い写真を選ぶのも上手い。たくさん写真を撮影する私のようなユーザーにとっては便利な機能だ。
本当に革新的なのは一見して明らかなことではないが、EyeEm VisionとThe Rollのテクノロジーは私たちが写真を使う方法を変えることになるだろう。写真を探すのにいちいちタグ付けをする必要がなくなるのだ。人が現在どのようにインターネットを使っているかを考えるとこの重要性が分かると思う。5年ほど前まで、私たちはとても慎重にキュレートした巨大なブックマークのコレクションを持っていた。しかしどこかの時点で、Googleがそれに取って代わった。指先1つで必要な全てのページにアクセスできるのに、わざわざ最新版のリンクを維持している必要がなくなったのだ。同様にThe Rollは、これまでにないほど自分の写真を探求したり、自由にアクセスしたりすることができるようになる。
唯一欠けているのはデスクトップ版だ。The Rollは魔法のようで、写真が趣味なら試してみると良いだろう。しかし、この技術はパソコンからも使いたいと本気で思う。写真における最大の手間はタグ付けや写真の整理だ。The Rollは今後提供する機能のティザーのようだ。もし写真業界を席巻したいのなら、このテクノロジーをAdobe LightroomのプラグインにすべきだとEyeEmに伝えたい。
The RollのiOS版は今日ローンチし、Android版も近いうちにリリース予定だという。
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