ウェアラブルデバイスにはApple WatchやFitbitなどいくつかあるが、スマートトイのMoffは法人向けサービス、特に介護やウェルネルの領域での普及を目指すようだ。本日ウェアラブルIoT端末を開発するMoffは、総額3億円の第三者割当増資を発表した。引受先は、環境エネルギー投資、三菱総合研究所、ツネイシキャピタルパートナーズだ。
2013年10月に設立したMoffは、2015年9月にバンダイナムコエンターテインメント、ORSO、TomyK、個人投資家らを引受先として総額1億6000万円を調達している。今回の調達で累計調達額は4億6000万円を超える計算となる。
Moffの主力製品はウェアラブル端末の「Moff Band」で、これはBluetoothでスマホなどの端末と連携して使用するデバイスだ。加速度センサーとジャイロセンサーを内蔵していて、腕に巻きつけておけば着用者の動きをトラックできる。2014年3月に実施したKickstarterのクラウドファンディングキャンペーンではおよそ7万9000ドルが集め、2014年秋から日米で一般販売を開始した。
当初は「スマートトイ」という触れ込みで展開してきたMoffだが、代表取締役社長の高萩昭範氏は、「もともそヘルスケア領域へのチャレンジは考えていた。鎌田さん(創業時からMoffに出資しているエンジェル投資家で、TomyK代表取締役の鎌田富久氏)から最初に投資を受けたときから、『楽しい体験をしながらデータをためて、それを価値に変える』ということを考えていた。」と説明する。
「『動き』を『楽しい』に変えるというのは、スマートトイを使った運動だけでなく、介護との相性もいいと分かっていた。(Moffなら)身体データを計り、フィードバックもできる。ではそれをどういうコンテンツにできるか、というところが課題だった」(高萩氏)。こういった背景もあり、Moffは今回の調達に先駆けて2016年12月に三菱総合研究所との資本・業務提携を実施している。
スマートトイの領域については、2016年8月に学研と提携。Moffを活用した紙芝居アプリ「おとしばい」を保育園や幼稚園に提供するなど、B向けサービスで事業を拡大している。米国でもPBS KIDSに続き、提携先を拡大中だ。
今後は年内にも国内のリハビリ施設を対象に、Moffを使ったリハビリ向けのソリューションを提供する予定だ。「介護リハビリからスタートするが、今後はそれに限らず、転倒予防や生活習慣病予防といった領域に挑戦していく」(高萩氏)