スマートフォン革命に取り残された人のためのタッチフリーモバイル端末

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編集部記:Oded Ben Dovは、触らなくても使用できる世界初のスマートフォンSesame Enableの共同ファウンダーでCEOだ。このスマートフォンは、障害者が障害者の為に制作した端末だ。

旅行中で休むための時間にも関わらず、ひっきりなしに来るメールやテキストで鳴り続けるスマートフォンを海に捨ててしまいたくなる衝動にかられたことはないだろうか?

私たちの多くが接続した世界から離れたいと思い、今では「デジタルデトックス」のための旅行市場まで誕生している程だ。しかし、私たちとスマートフォンの関係は愛憎が拮抗するものでも、最終的には愛が勝つ。

1日、2日以上電源コードから離れることは想像できないだろう。モバイルでの接続は、現代社会で生きるために必要不可欠になっている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の 調査から、毎日2ドル以下で生活している人たちでさえ、必要であれば食費を抑えてでもモバイル端末を保有するそうだ。

スマートフォンはもはや私たちの身体の一部といっても過言ではないが、一部の人たちはこの流れに取り残されてしまった。大勢の身体が不自由な人たちのコミュニティー、例えば、四肢麻痺、ALS、脳性麻痺を患っている人たちだ。この人達は、スマートフォンでFacebookに投稿したり、ゲームをしたり、アプリをダウンロードするのもそうだが、通話やテキスト、ネットを見たり、メールを読んだりすることも難しい。

モバイル端末は、収入レベル、年齢、性別に関わらず、私たちの社会生活、キャリアの形成に必要なものとみなされている。エンターテイメントに関しては大部分を占めている。言葉を変えれば、モバイル端末は、もはや通話のためのものだけではなくなったということだ。

一本の電話が私の人生を変えた

3年ほど前、私の電話が鳴った。電話は、私のキャリアの道筋を大きく変える声の持ち主とつながっていた。その当時、私はゲームの開発をしていて、ジェスチャーだけで遊べるiPhone用のゲームを紹介するためにテレビ番組に出演した。

電話相手は、実質的に私に電話をかけることは不可能だった。彼は電話を持つことも電話番号を押すこともできず、それをするには誰かの助けが必要だった。Giora Livneは自己紹介で、7年前の事故がきっかけで四肢麻痺になったことを説明した。電気技師をしていたGioraは、私をテレビ番組で見かけ、このジェスチャー技術は、彼のような人たちの助けになると気がついた。

「唐突なお願いかもしれません」とGioraは、彼と一緒に世界初のタッチフリースマートフォンを開発しないかと私を誘った時に言った。その後数ヶ月で、Sesame Enableを企画し、ローンチした。このスマートフォンは手を使わずとも、頭の動きだけで操作ができる。手が麻痺している、あるいは動きが限定されている人でもスマートフォンを使用できるのだ。

Gioraからの電話を受けるまで、スマートフォンは贅沢品だと私は思っていた。

私たちの多くは、デジタル消費の飽和点まで到達し、接続を切りたいとまで感じている。Microsoftのシニア調査員で作家のDanah Boydは「How to Take an Email Sabbatical(Eメールから休憩を取るには)」でアドバイスをしているし、Randi Zuckerbergは「デジタル休み」を支持 している。多くの人は、電源を抜く方法を考え、常に接続されている時代から自分を隔離する方法を探す一方、Gioraのような人はその世界に接続する機会すら与えられていなかった。

ギャップは広がるばかり
テクノロジーが私たちの身近になるほど、不自由な人はどんどん取り残されている。

モバイルコミュニケーションは、私たちの社会を構築する要素だ」とミシガン大学で通信についての研究を行う教授Scott Campbellは言う。Scottは、スマートフォンを持つことで得られるメリットを3つ上げた。安全と安心感、毎日の活動を整理する能力、そして社会的な活動をする機会だ。

ベータ版のテストユーザーから、最後の要素が最も重要であることが分かった。当初私は、患者の多くは実用的な理由からモバイル端末を使用したいのだと考えていた。それもその通りだと彼らは話してたが、最も彼らにとって重要だったのは、誰かとプライベートで通話をすることだった。Gioraもプライベートな通話を何年もすることができなかった。私が出会ったティーネージャーや子どもたちは他の友達のようにCandy Crushを遊んだり、(ベータ版のテストユーザー、Oriの笑顔は何事にも代えがたい。)Facebookを使いたかったのだ。

この分野でのイノベーションも進んでいる。

昨年、耳が聞こえない人のコミュニケーションを円滑にするMotion Savvy Uni が登場した。手話を音声に変換し、音声をテキストに変換する、この分野で初めてのタブレット用ソフトウェアだ。Uniの音声認識技術は人が話している言葉を、耳が聞こえない、あるいは聞くのが難しい人のためにテキストに変換する。そして耳が聞こえる人向けには、ジェスチャーのモーション認識技術で手話を音声に変換する。

何万人もの需要を認識し、Project Rayは目が見えない人のための視覚を必要としないスマートフォーンを開発した。このスマートフォンは触覚と声と音でコントロールすることができる。彼らのためにデザインされたこのモバイル端末は、目が不自由でも電話をかけたり、テキストメッセージやEメールのやりとりしたりできる。更には、カレンダーのリマインダー設定、GPSのナビ、リモートアシスタンス、色認識ツール、絵画の説明などの機能も使用することができる。

多くの人はモバイル端末に苛立ちを覚え、接続を切ったり、離れることを望むが、私はGioraと出会い、たくさんの人にとってスマートフォンやタブレットは、ただの不必要な贅沢品ではないことに気がつくことができて光栄に思っている。ここ10年で最も私たちの生活を変えたテクノロジー端末は、物理的に触れることが困難な人を含め、誰もが使えるものになるべきだ。彼らが最もそれを必要としているのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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