スーパーの商品を最短30分で届けるサービスをInstacartが導入

Instacart(インスタカート)がグローサリー配達を迅速化している。同社は米国時間5月27日、従来より速い配達サービス「Priority Delivery」を、事業を展開する米国とカナダのいくつかのマーケットで導入すると発表した。そうしたサービスがなければちょっとした買い足し、あるいは急ぎの買い物で店舗に駆け込むであろう消費者をひきつけるのが狙いだ。まずは米国のいくつかの大都市圏で展開し、30分で配達する、とInstacartは話す。同社はまた、配達時間45分と60分というオプションも含め、他の迅速配達サービスを今後数カ月以内に他の都市や小売店へ拡大する。

今日、多くの顧客は毎週、あるいは月1回のグローサリー注文でInstacartを使っているが、その日の夕食の材料など少量のアイテムが必要な時はまだ店舗に足を運んでいる。新しいPriority Deliveryはスーパーの精算エクスプレスレーンに代わるグローサリー配達選択肢になり、こうしたちょっとした買い物時に使ってもらう。

Priority Deliveryが使えるマーケットでは、Instacartアプリ内でサービスが使える小売店に稲妻マークを付ける。そこでは「30分以下」などと想定される配達時間も示される。顧客は必要に応じて精算時にスタンダード配達や配達予約の代わりにPriorityを選ぶことができる。

迅速配達では、注文数の制限や最低注文品数の決まりはない、とInstacartは話す。しかし、たとえば牛乳、チップス、ワイン数本といった急ぎのリクエストは、特選デリ商品やベーカリー商品、あるいは大量のものをリクエストするより早く準備されそうだ。

買い物量が多くなったとき、あるいは注文がやや複雑なものになったとき、アプリは30分配達は利用不可だと情報をアップデートし、新しい配達時間を表示する。

Instacartはこのサービスの価格をまだ最終的に決めていないが、Priority Deliveryはいくらかの追加料金が発生する見込みだ。しかし同社は追加料金は「わずか」で「少しずつ」であり、マーケットの考慮すべき事項に基づいて変化することになると話す。配達オプションとそれにともなう料金と税は精算時に表示され、隠れ手数料などはないとも指摘する。

Priority Deliveryはまずシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、サンディエゴ、サンフランシスコ、シアトルのスーパーや専門店を含む300店超で利用できるようになる見込みだ。その後、他のマーケットや小売店にもサービスを拡大する。

「1週間のまとめ買い、あるいはその日の夕食に使ういくつかの食材など、すべての買い物が同じではないことを承知しています。ですので当社は人々がその日のグローサリーを買い物する多くの方法をサポートする新しい機能を立ち上げます」と同社のプロダクト担当副社長Daniel Danker(ダニエル・ダンカー)氏は話した。「ピンチのときや急いで何かが欲しいとき、多くの顧客は時間に余裕がありません。Priority Deliveryの導入で当社は『店までひと走りする』を再定義し、顧客のためにスーパーのエクスプレスレーンをオンラインに持ってきます」と付け加えた。

またInstacartは45分と60分の配達を提供する都市を米国で拡大し、Priorityが使えなくても従来より速い配達のオプションを提供する。

対象とする店舗の多くで配達を迅速化する動きによって、同社はWalmart(ウォルマート)やAmazon(アマゾン)のグローサリー事業、Target(ターゲット)が展開するShiptといったライバルのグローサリー配達との競争で優位に立てるかもしれない。

今回の動きは、先週のAmazonの発表に続くものだ。AmazonはPrime Now配達アプリとウェブサイトを閉鎖し、グローサリーの即配を希望する買い物客をAmazonのアプリとウェブサイトに誘導すると明らかにした。しかしAmazonの場合、Amazon FreshとWhole Foodsで2時間以内の配達サービスを約束している。30分ではない。一方、Walmartの会員制の配達サービスWalmart+は現在、有料顧客向けにすら同日配達を保証していない。配達時間枠の確保は先着順となっている。残るShiptは同日配達を提供しているが、それは必ずしも30分以内ではない。

今回のアップデートでは、Gopuffの「インスタントニーズ」デリバリーサービスUber Eatsのエッセンシャルズ、そして店に買いに走るようなチップスやアイスクリーム、スパイス、パック食品などのコンビニ商品も2020年から扱うようになったDoorDashといった、グローサリー小売店にサービスを提供していない他の即配達事業者との競争でInstacartは張り合える。

Instacartの新しいサービスは対象マーケットで順次展開される。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Instacartグローサリーオンデマンド配送

画像クレジット:Instacart

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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