ゼンリンCVC子会社出資第1号の「レイ・フロンティア」とゼンリンが移動最適化や位置情報ビジネスで提携

レイ・フロンティアゼンリンは6月3日、MaaSビジネス・スマートシティの実現に寄与する人々の移動データの収集、地図情報と連携させた分析を用いた移動の最適化関連事業の強化、迅速な研究開発の実行、地図情報を活用した位置情報ビジネスの強化などを目的とした業務提携契約を締結したと発表した。なお、レイ・フロンティアは、ゼンリンのCVC事業子会社ゼンリンフューチャーパートナーズが運営する「ZFP 第1号投資事業有限責任組合」の出資第1号となっている。

近年、地方創生実現に向け、都市・地方が抱える交通サービスの課題を解決するMaaSの導入が注目されているという。MaaSは、複数の公共交通サービスやそれ以外の移動サービスとの連携により、個別ニーズに対応することが期待されるため、移動データの活用が重要となる。

そこで両社の保有技術をかけあわせることで、MaaS領域における事業強化、スマートシティの実現に寄与すると判断し、業務提携契約を締結したという。

レイ・フロンティアは、数秒単位での位置情報の取得が可能な位置情報収集技術「SilentLog SDK」、AI活用の行動分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を所有。ゼンリンは、自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど、移動に最適化された地図データベース「Mobility based Network」を保有している。これらの技術を組み合わせ、高精度な位置情報を収集し、分析しやすいデータベースとして管理することにより、さまざまな利用用途に応じたデータ活用が実現するとしている。

  • ゼンリン「Mobility based Network」:自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど、移動に必要なあらゆるネットワークを組み込み、各ネットワークを交通結節点で接続したMaaSに最適化された基盤データベース。電車からバスへの乗り換え経路の表現や、IoT機器で収集した移動情報の可視化などを実現
  • レイ・フロンティア「SilentLog SDK」:既存モバイルアプリケーションに組み込むことで、低消費バッテリーかつ高密度な位置情報の取得が可能になる位置情報収集エンジン。スマートフォンが搭載している各種センサーデータを活用した独自技術により、バッテリーの消費を1日平均3%にまで抑えながら、数秒単位での位置情報の取得が可能
  • レイ・フロンティア「SilentLog Analytics」:SilentLog SDKを使ったモバイルアプリケーションおよびその他デバイスから収集した行動情報を、リアルタイムかつ匿名で分析する。人々の行動を誘発するためのAIを活用した行動分析プラットフォーム

すでに両社は、2021年度に長崎市において実施する観光型MaaS実証実験に向けたスマートフォンアプリの共同開発に着手済みという。この業務提携契約に基づき、まずは長崎市内の各観光エリア間の移動を喚起するためのストーリー型コンテンツの提供や、公共交通・民間サービスとの連携、「Silentlog SDK」の組み込みによる観光客の移動データの収集を実現するスマートフォン向けアプリケーションの共同開発を行う。

また実証実験を通じ、位置情報と地図データを組み合わせ、観光客の交通機関の利用状況、観光施設や飲食小売店への立ち寄り情報の分析を行う。その分析結果を基に、観光客の特性・行動モデルを生成し、移動予測・行動予測による観光客へのレコメンドサービスを実現し、観光客に寄り添ったサービスづくりを目指す。

両社は、MaaS以外の事業領域でも、近年注目されているロケーションビジネス(広告ビジネス)へのエリアマーケティング情報の提供や、スマートシティ時代に向け官民連携で推進している官民データ連携基盤の構築への位置情報ソリューション提供を通じ、社会課題解決に寄与することを目標としている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ゼンリン(企業)ゼンリンフューチャーパートナーズMaaS(用語)レイ・フロンティア(企業)日本(国・地域)

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TechCrunch Japan

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