IT人材の育成に向け、日本でもSTEM教育(科学・技術・工学・数学)への注目が集まっている。2016年4月、文部科学省は2020年をめどに小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表し、今後子供たちがプログラムやコードに触れる機会が増えそうだ。子供向けのプログラミング学習キットには、レゴのプログラミングロボットの「マインドストーム」や深センのスタートアップMakeblockが提供する「mBot」などが思い浮かぶ。今回、この市場にソニーも参入するようだ。
本日、ソニーグループのソニー・グローバルエデュケーションは、子供向けのロボット・プログラミング学習キット「KOOV(クーブ)」を発表した。ソニー・グローバルエデュケーションは、2015年4月に設立した会社で、教育サービス事業を展開する。同社は2016年3月にKOOVの概要を発表していたが、今回その詳細を明らかにした。
KOOVの学習キットには、ブロックと電子パーツが入っている。電子パーツにはバッテリーとプログラムを転送するコア部分の他に、加速度センサーや光センサー、LEDライトなどのパーツがある。それらのパーツを組み合わせることで様々な動きをするロボットが作成できる。ブロックや電子パーツを接続するにはハンダ付けをする必要はなく、パーツを組み合わせるだけでいい。
ロボットのプログラミングには、WindowsのパソコンやiPad向けに提供されるKOOVの専用アプリを使う。このアプリでプログラムを作成し、ロボットに転送することで、ロボットを動かすことができる。
ただ、いきなり子供にブロックを与えても、ロボットを作ることは難しいだろう。そこでKOOVでは、子供一人でも学習を進めて、最終的には自由にロボットを作れるようになるアプリの学習メニューの開発に力を入れたという。
アプリの学習メニューには「ロボットレシピ」と「学習コース」がある。ロボットレシピでは、子供たちがアプリを見ながらブロックをつなげてロボットを作成できる。プログラムがあらかじめ用意されているので、あとはプログラムをロボットに転送するだけでロボットを動かすことができる。学習コースでは、プログラミングの基礎やパーツの使い方を学ぶ。課題をクリアすると、町が彩られ、バッチなどが手に入れられる。これらのロボットレシピや学習コースといったコンテンツは、今後さらに追加していく計画だという。
学習メニューの他には「自由制作」モードがある。学習コースを学び終えた子供たちは、ここで自由にロボットを作成し、プログラムを書くことができる。さらに作成したロボットの写真をアップロードして、世界中のKOOVユーザーとシェアできる「コレクション」機能もあるそうだ。
KOOVの制作にあたり、デザインにこだわったと担当者は話す。KOOVは8歳以上の子供向けの製品だ。そのため、子供でも遊びながらプログラミングを学べるよう、使いやすくなじみやすいデザインを取り入れている。例えば、カラーブロックの色合いやビジュアルプログラミングの画面、アプリ全体のUIなどに気を配った。また、プログラミングやロボットというと男の子向けと思われやすいが、女の子でも親しめるものを心がけたそうだ。
KOOVは価格はスターターキットが3万6880円、拡張パーツキットが2万1880円だ。スターターキットと拡張パーツキットの両方の内容が入ったアドバンスキットは4万9880万円だ。拡張パーツキットにはKOOVのメイン基盤が入っていないため、単体での利用はできない。KOOVはソニーストアの直営店とEコマースで、2月18日より発売を開始する。ソニーストアを確認したところ、すでに注文は受け付けているようだが、配送予定日は2月18日となっていた。