ソフトバンクがIoT向けのLTE規格「NB-IoT」「LTE Cat M1」の商用サービスを開始しました。月額料金は10円〜(税込)と業界最安。データ解析と組み合わせた収益化を狙います。
低速で廉価なIoT向け通信
「NB-IoT」「LTE Cat.M1」は、センサーなど、少量のデータ通信が中心となるIoT(モノのインターネット)向けの通信規格です。スループットは「NB-IoT」が上り63Kbps / 下り27kbps、「LTE-M」が上り1Mbps / 下り0.8Mbpsと低速。下りより上り通信が速いのも特徴で、センサーで集めた容量の少ない情報(例:川の水位、温度など)を、定期的にアップロードする用途に向きます。
それに従って通信料金も安価です。1回線あたり10KBまで月額10円で利用できるプランなど、月々のデータ通信量に合わせて4プランを提供。「(セルラーIoTでは)業界最安の料金」だとアピールします(ただし、後述のIoTプラットフォームと併用することが前提です)。
なお、1回線で月10円〜というのは、大量導入が前提の法人向けとしてもあまりに安価。ソフトバンクの丹波廣寅氏(IoT事業推進本部 本部長)は『回線で儲ける気はない』といい、同社のIoTプラットフォームと組み合わせた収益化を狙います。
同プラットフォームでは、IoTセンサーで集めた大量のデータを、ソフトバンクが携帯事業を展開するうえで保有するキャリアデータや、オープンデータと組み合わせて解析することが可能。また、デバイスやデータ管理API、ネットワークAPI、解析・認証API、メッセージAPI、決済APIなどを活用して、データから新たな価値を生み出せるビジネス基盤であるといいます。
「原価率が60%を超えるような商売ではない」(丹波氏)という利益率の高さも特徴。「APIを叩くとチャリンチャリンとお金が入ってくる。APIトランザクションのビジネスに近い」とも語ります。
丹波氏は、ソフトバンクのIoT戦略について「直線的ではなく、データを分析して未来を予測して制御したり、データから新しいビジネスを作り出せるIoTを目指したい」と語りました。
Engadget 日本版からの転載。