ソーシャルメディアでお小遣い稼ぎ ー UGCマーケットプレイスのLobsterが100万ポンドを調達中

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ユーザーが生成したコンテンツ(UGC)のマーケットプレイスを運営しているLobsterが、スケールアップに向けてシリーズAで100万ポンドを調達しようとしている。既に目標額の85%が集まっており、残りの投資家の意向も来週中にはまとまる予定だ。

既に投資を決定している投資家には、現在Lobsterの開発チームが拠点を置くモスクワでコーワーキングスペースを運営しているKL10CH(”The Key”という名でも知られている)や、Otkritie Capitalの前CEOで50万ポンドの出資を決めたNikolay Katorzhnovのほか、少額出資を予定している複数の投資家が含まれている。現在足りていない資金は、イギリスや海外のエンジェル投資家、そして以前のラウンドに参加していた投資家から調達される予定だ。

2014年のTechCrunch Disrupt EuropeでBattlefield決勝に出場していたLobsterは、先日行われたシードラウンドで、Wayra UKやイギリスのエンジェル投資家、そしてクラウドファンディングプラットフォームから70万ポンドを調達していた。

同社は、ブランドや広告代理店をターゲットとして、UGCを簡単に広告で使えるようなライセンシングプラットフォームを運営している。Lobsterの顧客は、同社のプラットフォーム上でソーシャルメディアで使えそうな(使い古されたストック写真ではなく)オーガニックな素材を簡単にみつけ、そのライセンスを購入することができる。同社はサブスクリプション制を採用しており、顧客は複数のプランから自分にあったものを選べるほか、1ヶ月のお試し期間も準備されている。

ソーシャルメディアユーザー(=Lobsterのコンテンツクリエイター)側のメリットは、いつものようにソーシャルメディアを利用するだけで、お小遣い稼ぎができるということだ。

共同ファウンダー兼CEOのOlga Egorshevaは、アメリカとアジアに開設予定のオフィスとともに、シリーズAで調達した資金を利用して海外でのマーケティングやパートナーシップ締結に力を入れていくと話す。また同社は、昨年ローンチしたAI検索エンジンを強化し、コンテンツのランク付けの精度を上げるとともに、関連コンテンツをもっとみつけやすくしようとしている。

「今回のラウンドは、私たちが次のステップに進む上で大きな意味を持っています。私たちは今ちょうど、クリエイターだけでなくコンテンツを利用する顧客の規模を拡大していく上での岐路に立っており、今後重要な市場でビジネスを成長させるために資金が必要なんです」と彼女はTechCrunchに対して語った。

「現在アメリカに顧客企業が数社、そしてアメリカを含む世界中にLobsterを利用しているクリエイターがいますが、私たちはAPIを利用してもっとアメリカの広告代理店やメディア企業などの法人顧客を重点的に攻めていきたいと考えています」

先週Lobsterは、イギリスのウェブサイトビルダーMoonfruitと初となるAPI統合を行ったと発表したが、今後さらにこの分野に力を入れようとしているようだ。Lobsterは10社以上とのAPI統合をQ1・Q2を通しての目標にしており、将来的にはPhotoshopと同社のプラットフォームを連携させようとAdobeとも話を進めている。

コンテンツに関し、Lobsterは今のところInstagram、Flickr、Facebook、Vk、YouTube、Vimeoをサポートしているほか、クリエイターはDropboxやVerizon Cloudなどのクラウドストレージサービス経由でも、コンテンツをLobster上で公開できるようになっている。

コンテンツの公開にあたり、クリエイターは全ての写真や動画を自動でLobsterと同期するか、自分で同期したいファイルやフォルダをピックアップするか選択することができる。ファイル公開後は、プラットフォームがハッシュタグや位置情報、タイトル、画素数などの情報をファイルから抽出し、検索にひっかかりやすいようにメタデータをインデックス化する。Egorshevaによれば、新しいメタデータが追加されても自動で情報が抽出されるようになっているため、クリエイターは既にLobster上で公開したファイルをアップデートしなくてもいい。

さらにLobsterのAI検索エンジンには、検索精度を上げるための自動タグ付け機能や、コンテンツの色に基いたフィルター機能(ブランドカラーに合ったフコンテンツをみつけるのに便利)、顧客がアップロードした画像と似たコンテンツを表示する機能などが搭載されている。

また同社のAIには顔認識機能も備わっているので、例えば人が含まれているかいないかでコンテンツをフィルリングできるほか、性別や民族、年齢、表情や感情表現のように、もっと細かな条件でコンテンツを絞り込むこともできる。

AI検索エンジンは動画コンテンツにも対応しているが、Lobsterは今回の調達資金を使って、理想的には既に動画検索テクノロジーを開発したことがあるようなAIスタートアップと提携し、この機能をパワーアップさせたいと考えている。

「(現在の)AIの一部は、スタンフォード大学が開発したテクノロジーを、Lobsterの開発チームが改変し、ソーシャルメディアフィードや私たちが保有するソーシャルメディアのデータベースに対応させたものです。今後はAI業界の企業とも協業していきたいです」とEgorshevaは話す。

現在Lobsterに登録している約1万7000人のクリエイターは、InstagramやFacebook、Flickr、Youtubeなどを通してコンテンツをライセンスしており、顧客が利用できるコンテンツの数は500万点以上にのぼる。

さらに顧客はプラットフォーム上で公開されているコンテンツを利用するだけでなく、(上位のプランに登録すれば)Lobsterがサポートしているソーシャルメディアの一般ユーザーから自分たちが求めているコンテンツを募集することもできるため、コンテンツ数は最大300〜400億点に達する。

またLobsterは、(Egorshevaいわく)ライセンシングのプロセスを簡素化するため、一般的な非独占契約を使っているが、これまでにプラットフォームを経由せずに独占契約もいくつか結んでおり、もしも需要が増えれば独占契約をオプションに含めることも検討していくとEgorshevaは話す。

コンテンツの価格はソースや画質、既に他の顧客が使ったことがあるかといった情報をもとに、プラットフォームが自動で設定している。ライセンシングにあたっては、100万ビュー/再生以下のコンテンツ用と100万を超えるビュー/再生数のコンテンツ用(こちらの方が高い)の2種類の価格が準備されている。

Lobsterはライセンス料の25%を手数料として受け取り、残りの75%がPayPal経由でクリエイターに支払われる。

クリエイターにとってのもうひとつのメリットが、モデルリリース(写真に写っている人から、商業利用に関する許諾をもらうこと)に関する機能だ。Lobsterは署名済みの紙やPDFのフォームを回収する代わりにリンクを生成し、クリエイターがFacebook経由で利用許可を貰えるような仕組みを提供している。

単なるレポジトリではなく、積極的にコンテンツをかき集めて販売する同社のアプローチこそ、Lobsterの”戦略的な強み”だとEgorshevaは考えている。

「他のサービスにも登録しているファイルをLobsterへ再度アップロードさせるのではなく、私たちは既にオンライン上にたくさんあるコンテンツを探し出すというやり方をとっています」と彼女は語る。

「そうすることで、私たちのプラットフォームもほぼ際限なくスケールすることができるんです」と彼女は付け加える、「というのも、私たちはコンテンツ自体を保管するのではなく、データを引っ張ってきて保存し、検索アルゴリズムがそのデータを解析するようにしていますからね」

さらに、Lobsterはコンテンツの収集元をソーシャルメディアに絞っており、金銭的なメリットによってクリエイターのソーシャルメディアへのエンゲージメントが高まる可能性もあることから、各ソーシャルメディアも同社のアプローチを気に入っているとEgorshevaは主張する。

「私はソーシャルメディア各社に対して何度も売上を分け合う提案をしてきましたが、彼らはLobsterから得られる(または得ようとしている)エンゲージメントの方がずっと価値があると話していました」

現在LobsterはHills PetsやColgate Palmolive、さらにColgate Palmolive傘下の広告代理店Red Fuse/WPPを含む30社と契約を結んでいる(Hills Petsが可愛い犬の写真を求めているのは容易に想像がつく)。

そして同社は今のところビジュアルコンテンツにフォーカスしているが、将来的にはSoundCloudのようなプラットフォームを使って、ユーザーがつくった音楽のライセンシングをしていくことも検討したいとEgorshevaは話す。

ところでクリエイターはLobsterでどのくらい稼げるのだろうか?広告代理店が気に入るようなスタイルのコンテンツを提供しているユーザーであれば、数百ポンド稼ぐこともできるとEgorshevaは言っているが、実際のところは(少なくとも欧米のユーザーにとっては)お小遣い程度(”数ポンドから数十ポンド”)のようだ。

一方で、いずれにしろどこかにアップロードするであろうコンテンツから収入を得られるという意味では、Lobsterは”パッシブワーク”用のプラットフォームであり、少なくともソーシャルサイトにメディアを頻繁にアップロードする人にとってのLobsterの本当の魅力は、”無料のお金”を受け取れるチャンスだと言える。

「ただアカウントを連携して、いつも通りソーシャルメディアを使うだけで、コーヒーやビール分のお金が浮くと考えれば、なかなかのインセンティブではないでしょうか」とEgorshevaも話している。

「ヨーロッパやアメリカなどの先進国では、広告キャンペーンにコンテンツが利用されるということや、どこかにあるコンテンツを勝手に使ったり、画像のスクリーンショットを使うのではなく、きちんとクリエイターから許可をとる文化を育むという金銭面以外でのインセンティブが機能しているように見受けられます」と彼女は付け加える。

「例えばインドや東欧のユーザーの状況は全く違います。新興国では物価の違いもあり、Lobsterからの収入が大きなインパクトを持っているので、彼らは報酬にも魅力を感じているとわかっています」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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