ツイッターが約1210億円でモバイル広告プラットフォームMoPub売却を完了

Twitter(ツイッター)は米国時間1月3日、モバイル広告プラットフォームMoPub(モパブ)について、モバイルゲームメーカーでマーケティングソフトウェアプロバイダーのAppLovin(アップラビン)への現金10億5000万ドル(約1210億円)での売却を完了したと発表した。この取引は、Twitterが2023年までに売上高を75億ドル(約8650億円)超へと倍増させる計画を明らかにした後の2021年10月に発表されていた。MoPubはTwitterの2020年の年間売上高に約1億8800万ドル(約216億円)貢献したが、Twitterは現在、製品開発を加速させる中で他分野の開発にさらなる可能性を見出している。具体的には、パフォーマンスベースの広告、SMB、コマースにリソースを振り向けているとのことだ。

Twitterは1月3日、自社が所有・運営する製品の開発をさらに進める計画を改めて示した。

「MoPubの売却が完了し、当社は引き続きプラットフォーム全体の広告強化に注力します。当社の目標は、主要分野でより速い成長を実現し、製品開発を加速させることです」と、Twitterの収益製品担当GMであるBruce Falck(ブルース・ファルク)氏はプレスリリースで述べた。

TwitterのCFOであるNed Segal(ネド・シーガル)氏は以前、MoPubの売却により、Twitterがいかに同社のウェブサイトやモバイルアプリにおける「広告の大きな可能性」に集中できるようになるかを指摘していた

しかし今回の取引は、Twitterにとって広告だけでなく収益モデルを拡大できる新しい分野に投資する機会でもある。同社はここ1年ほどでTwitter Spacesという音声チャットルーム、ニュースレター(Revue買収による)、オンラインコミュニティ、誤情報を暴くプロジェクトBirdwatch、有料サブスクサービスTwitter BlueSuper Followやチップなどのクリエイターエコノミーツールと機能、暗号資産ライブショッピングなどのeコマースなどを立ち上げ、製品開発のペースを大幅に加速してきた。これらの製品を組み合わせることで、Twitterは、例えばチケット制イベントやサブスクの手数料など、新たな方法で売上を求める機会を増やすことができる。

MoPubの売却は、Apple(アップル)がモバイルオペレーティングシステムiOSの最新版で実施した変更によってモバイル広告業界が動揺していた時期に行われたものでもある。Appleの新しいプライバシー重視のツールにより、より多くの消費者がアプリや広告主による追跡をオプトアウトできるようになり、TwitterにとってMoPubのようなビジネスはさほど興味深いものでなくなっている。しかし、AppLovinは、MoPubの需要側と供給側のツールを、より大きなアプリ内メディエーションプラットフォームであるMAXに活用し、その後パブリッシャーと需要パートナーを統一プラットフォームに移行し、さらにビジネスを成長させすることにチャンスを見出している。同社は、2023年までに年間150億ドル(約1兆7300億円)以上の広告主支出の処理を見込んでいると話す

AppLovinによると、買収当時、MoPubのソフトウェアは4万5000のモバイルアプリで収益化の管理に使用され、特定可能なユーザー数は世界中で15億人に達した。現在では、数千のブランドや代理店を代表する150以上のDSPがAppLovin Exchangeに直接アクセスできるようになっている、とも話す。

「開発者は、より高い収益化の機会を促進し、ワークフローを合理化するためのより多くの機能の恩恵を受けていて、これはビジネスの収益増につながります。この統一プラットフォームの力は、今日の市場において比類のないものになると確信しています」とAppLovinの共同創業者でCEOのAdam Foroughi(アダム・フォルーギー)氏は声明で述べた。「より広範なモバイルアプリのエコシステムの成長を促進する、最大かつ最も堅牢なアプリ内広告プラットフォームの運営を目指し、この戦略的買収を実行することに興奮しています」。

この買収は2022年初めに完了するとされていた。

Twitterは1月3日、ネットワークメディエーション、Advanced Bidding、Marketplaceを含むMoPubのプラットフォームが2022年3月31日に廃止されることも明らかにした。MoPub DashboardとReportingは2022年4月8日まで利用可能だ。パブリッシャーは廃止から90日間内にMoPubプラットフォームからAppLovinのMAXプラットフォームへ移行することになる。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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