テキストメッセージングがモバイルコマースを変える

編集部注:Tom Hadfieldはモバイル購入アプリケーション、Fetchの創業者・CEO

先週、モバイルメッセージングの将来の大変革を予感させる発表が2つあった。近々6億人のFacebook Messengerユーザーは企業や店にテキストメッセージを送るだけで、食料品を注文したり、商品を買ったりできるようになる。一方、MagicはSequoiaから驚きの1200万ドルを調達し、あらゆるオンデマンドサービスをテキストメッセージを送るだけで発注できるようにする。

アメリカはようやく、アジアが何年も前から知っていたことを発見しつつある:モバイルメッセージングは商業プラットフォームである。

こうした展開は、最近Chris Messinaが提起した対話型コマースという新たなトレンドの到来を告げるものだ。ユーザーはさまざまな企業の無数のアプリを使う代わりに、シンプルなモバイルメッセージングのインターフェースだけを使えばよくなる。

「対話型コマースは利便性、パーソナル化、および意思決定支援を、どこにいるときも僅かな集中力で利用できるようにするたのものだ」とMessinaは言う。つまるところ、今ほどテキストメッセージを使っている時はなく、その潜在能力を、送金や商品の購入、オンデマンドサービスの発注、請求書の支払いなどに使わない手はない。

対話型コマースがテキストメッセージ革命の次期段階であることに大きく賭けて出たのはFacebookとSequoiaだけではない。我々は今、正真正銘のメッセージングゴールドラッシュの中にいる。今月 AlibabaはSnapChatに2億ドルをつぎ込み、新たに公開したSnapCashを使って友達に送金したり商品を買ったりできるようにした。これは、Alibabaが昨年Tangoに2.15億ドル投資したことに続くものだ。楽天は最近Viberを9億ドルで買収した

今ほどテキストメッセージを使っている時はなく、その潜在能力を、送金や商品の購入、オンデマンドサービスの発注、請求書の支払いなどに使わない手はない

アジアの投資家らがこのトレンドを先導したのは、モバイルメッセージングの真の潜在能力を活かすことに関してアジアがアメリカの先をいっていたという単純な理由からだ。

例えば中国のWeChatは、4.4億人のユーザーに請求書の支払い、タクシーの呼び出し、商品の注文等をテキストメッセージでできるオールインワンアプローチを提供することによって、11億ドル以上の収益を生んだ。日本のメッセージングアプリ、LineはLinePayを提供し、ユーザーがモバイル支払いや日用品の注文、タクシー予約などをできるようにした。

対話型コマースのトレンドは、人間と人工知能を組み合わせた新たな「コンセルジュ」メッセージングサービスにも後押しされている。Magicは、テキストメッセージで食料品を注文したり、花を贈ったり、洗剤を1時間以内に配達してもらうことを可能にして、評判を呼んだ

他の「対話型コマース」分野にいるスタートアップには、収集型ショッピング推奨サービスのScratchBRANDiD、テキスト経由でフライトやホテルを予約できるパーソナルトラベルアシスタントサービスのNativeがある。Path Talkは 企業に直接メッセージを送れるようにした最初のメッセージングアプリだ。

いずれ、自然言語処理によってこうしたコンセルジュサービスも自動化され、一方、正確性を確保しつつ自動化できないロングテールの要求を処理するために鍵となる人間が残されることになるだろう。

このような革新は、小さな画面や扱いにくい「ショッピングカート」の入力フォームといったモバイルの伝統的制約から解放される楽しみな方向へとわれわれを導く。もうオンデマンドサービス毎に別々のアプリをダウンロードしなくてよくなる。いずれ、自然言語処理によってこうしたコンセルジュサービスも自動化され、一方、正確性を確保しつつ自動化できないロングテールの要求を処理するために鍵となる人間が残されることになるだろう。

Facebook MessengerやSnapChatなどのメッセージングアプリの商用プラットフォームへの必然的進化は、われわれのモバイルコマースに対する考え方を変える。テキストメッセージでDoorDashに料理を注文し、SMSで支払いを済ませ、あるいはFacebook Messengerから愛する人に花を贈るようになる日は遠くない。

Magicは、 玄関先に虎を届ける約束は果たせないかもしれないが、モバイルメッセージングがまだまだ強力になっていくことは明白だ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。