Tesla(テスラ)は同社が中国から輸入しているコンピューターチップとその他の部品に対する関税を巡って、トランプ政権に対して訴訟を起こした。同様の裁判はすでに数百社が進めており、自動車メーカーではFord(フォード)、Mersedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Volvo(ボルボ)などが該当する。
テスラは合衆国国際通商裁判所に提出した訴状で、Robert Lighthizer(ロバート・ライトハイザー)合衆国通商代表の名前を挙げ、一連の関税を違法であると宣言するよう法廷に求めている(Bloomberg記事)。テスラは支払った関税と利子の返金も要求している。訴訟の中心を成している2種類の関税は、2018年に成立したCPUに対する25%の関税および昨年成立したその他数百種類の部品に対する7.5%の関税だ。
昨年合衆国通商代表部(USTR)は中国製の新しいカスタムチップの免除に関するテスラの要求を却下した(米政府リリース)。
そのカスタムチップは同社のAutopilot(オートパイロット)3.0 ハードウェアの一部であり、同社が新車すべてに搭載予定の完全自動運転(FSD)を可能にするものだ。このハードウェアは現在Model 3、S、およびXの全新車に標準搭載されている。顧客はさらに8000ドル(約84万3500円)を払ってFSDのソフトウェアアップグレードを購入する。
このハードウェアはAutopilot ECU(エンジン制御ユニット)の中にあり、テスラはこのモジュールを「車両の頭脳」であると説明している。モジュールは台湾拠点で中国・上海に工場があるQuanta Computer(クアンタ・コンピュータ)という会社が組み立てている。このモジュールは中国で作られて米国に輸入されたその他の電子部品とともに25%の報復関税の対象になっている。
テスラはUSTRへの要求の中で、Autopilot ECU 3.0の製造を米国内で行うことは不可能だと語った。
テスラはAutopilot ECU 3.0を、Teslaの継続的成長に必要な仕様で必要な数量を生産するための専門技術を有するメーカーを見つけることができなかった。このモジュールは車両の頭脳である。このためその調達は軽々に考えられるものでもコストだけで決められるものでもない。オートパイロットはテスラ体験の複雑でかつ安全最重要の機能であり、わずかな不具合さが重大な結果を招く可能性があるため、われわれの決定はすべてリスクを軽減することを目的としている。
テスラはModel 3のコンピュータシステムの部品であるメディアコントロールユニット(MCU)の免除申請も却下された。MCUは3枚のプリント版ユニット(PCBA)を組み合わせてメカニカルシャーシに収めたものだ。PCBAは、車載タッチディスプレイ、オーディオスピーカー、マイクロフォン、ラジオ、接続ボード(携帯通信)、Bluetooth、Wi-Fi、USB充電器、バックカメラなどとのデータのやり取りを制御していると同社は要望の中で説明している。MCUは先進運転支援システム(ADAS)および通信ボードモジュールと接続・通信する。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )