Tesla(テスラ)の株主は、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が2016年に同社の取締役会にSolarCity(ソーラーシティ)を買収するよう強要したと裁判官に認定するよう求めている。この買収取引は、マスク氏が筆頭株主だった破綻したソーラー会社の「救済」だったというのが株主グループの主張だ。米国時間1月18日に行われたZoomでの公聴会で、株主らはマスク氏に買収取引で受け取った株式の返還とTeslaへの130億ドル(約1兆4918億円)の支払いを命じるよう求めた。
全株式による買収取引は当時26億ドル(約2983億円)と評価されたが、Teslaの株価はその後、大きく上昇した。
マスク氏は2021年7月に買収をめぐる10日間の訴訟で証言し、弁護団はマスク氏が当時85%の株主が承認したSolarCity買収に関連する取締役会の議論や交渉に関与しなかったと述べている。この買収についてマスク氏が不適切な影響力を行使したかどうか、また同氏や他の取締役が買収に関する情報を株主に隠していたかどうかが争点となっている。
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ロイター通信によると、株主側の弁護士Randy Baron(ランディ・バロン)氏は公聴会で「この訴訟は常に、SolarCityの買収がイーロン・マスク氏が巧妙に仕組んだ財政難からの救出、救済だったのかどうかが争点になっている」と述べたという。
組合の年金基金や資産運用会社による訴訟では、SolarCityは「一貫して利益を上げることができず、負債が膨らみ、持続不可能な速度で現金を使っていた」とし、同社が10年の歴史の中で30億ドル(約3442億円)超の負債を積み上げ、そのほぼ半分が2017年までに返済期限を迎えていたと指摘した。
マスク氏の弁護士は2021年7月、この買収はTeslaをエネルギー会社に変えるというマスク氏の長期ビジョンの一部だったと主張した。マスク氏は、SolarCityとTeslaを合体させることが、Teslaの蓄電製品「Powerwall(パワーウォール)」と太陽光発電パネルを組み合わせるというビジョンの鍵だった、と述べている。
1月18日の公聴会で、マスク氏の弁護士の1人であるEvan Chesler(エヴァン・チェスラー)氏は、この取引は救済措置ではなく、SolarCityの財務は多くの高成長中のテック企業と同レベルだったと主張した。
ロイター通信によると、チェスラー氏は「SolarCityは何十億ドル(何千億円)もの長期的価値を築いていた」と述べた。
株主側の弁護士のLee Rudy(リー・ルディ)氏が、デラウェア州大法院のJoseph Slights(ジョセフ・スライツ)代理大法官に、宣誓証言と裁判の過程で株主側弁護士を繰り返し侮辱したマスク氏に対する侮辱罪を検討するよう求めたことから、その場は少し緊張した雰囲気になった。
スライツ氏は約3カ月後、自身の引退と同時期に判決を下す見込みだと述べた。マスク氏の巨額報酬に異議を唱える関連株主訴訟は、スライツ氏から別の判事に移管された。
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi)