独自のブロックチェーン技術「mijin」とビットコイン取引所「Zaif」を提供するFintechスタートアップのテックビューロは今日、企業通貨やトークンの発行を企業向けに支援するサービス「Zaica」(ザイカ)を始めたと発表した。利用企業はブロックチェーン上で仮想通貨やトークンを発行し、これを企業通貨として使ったり、ポイントやチケットなどとして扱うことができる。トークンに価値を持たせるのではなく、1度しか使えない「投票券」として利用したり、所有権が流通する電子トレーディングカードのプラットフォームとして利用する応用もあるという。
トークンを発行するのはBitcoin、NEM、mijinの3種類のブロックチェーン上で可能だ。それぞれ「Counterpartyトークン」、NEMのブロックチェーン上に実装された「MOSAICアセット」などが実際のトークンとなる。前の2つはパブリックなブロックチェーン上でトランザクションを行うため少額のコストがかかるが、mijinを利用したプライベートなブロックチェーンを構成する場合には送金時(送信時)の手数料をゼロにできるという。
テックビューロ創業者の朝山貴生CEOによれば、ブロックチェーンの特性はZaicaにも当てはまり、「発行数を限定できる」、「改ざんを防止できる」、「資産の無断移動を防止できる」、「なりすましを防止できる」、「透明性を確保できる」といった利点があるという。
Zaica導入事例として、フィスコが株主に配布するフィスココインを、オウケイウェイヴがQ&Aサイトでユーザーに還元するトークンを発行する予定であるほか、EストアーもECサイト上でトークンによるユーザー還元機能を提供することなどが決まっており、今後順次トークンを提供していくという。インフォテリア、アララ、SJI、カレンシーポートなどがZaicaのインテグレーション・パートナーとなっている。
発行母体となる企業の実装次第だが、Zaicaで発行するトークンは、単に企業側から利用者に提供するだけなく、利用者間や別企業への送信が可能で、トークンの市場流通も実現できる。単一企業で閉じたものであれば会員ポイントのような話だが、流通可能となると、これは電子マネーと重なる領域。実際、TechCrunch Japanの取材に対して朝山CEOはSuicaや楽天Edyのような大規模な電子マネーであってもブロックチェーンが使えない理由はないと話している。
テックビューロは2014年6月創業で、2015年春に独立系VCの日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)から約1億円の第三者割り当て増資を実施しているほか、2015年5月にはアララ、インフォテリア、オウケイウェイヴ、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ、広島ベンチャーキャピタル、フィスコ、マネーパートナーズグループ、SJIなどからシリーズAとして、7.2億円の資金調達をクローズしている。