日本のスタートアップが作ったブロックチェーン技術mijinが世界に出て行く。テックビューロは2016年4月28日、第三者割当により約6億7000万円の資金を調達した。mijinの海外展開などに充てる。
出資したのは、アララ、インフォテリア、オウケイウェイヴ、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ、広島ベンチャーキャピタル、フィスコ、マネーパートナーズグループなど。各社との間でビットコイン関連サービスおよびブロックチェン技術に関する戦略的な事業提携を結ぶ。
各社との提携内容は次のようになる。
- アララ 電子マネーサービスrepica point+plusにmijinを導入
- インフォテリア データ連携ミドルウェアASTERIA WARP用のmijinアダプタを開発
- オウケイウェイブ mijinを応用したユーザー認証パッケージ製品を開発。サポートシステムのキューにブロックチェーンを導入する。
- フィスコ マーケット情報の配信システムへのブロックチェーン技術適用の共同開発。子会社フィスココインにZaifの技術を提供。
- マネーパートナーズグループ 同社発行のプリペイドカードのビットコイン対応。
調達した資金の使途として、同社が運営するビットコイン取引所Zaifの機能強化、サポート強化、またプライベートブロックチェーン技術mijinの研究開発、実証実験、国内外拠点におけるmijinサポート拠点の設立などを挙げている。
目を引くのは、海外への展開だ。今後は、日本、欧州、米国、アジアの4拠点で活動する。テックビューロ代表取締役社長の朝山貴生氏は、1998年から2003年にかけて米シリコンバレーで会社を経営した経験があり、米国市場には再チャレンジということになる。
なお、テックビューロは2015年春に独立系VCの日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)から約1億円の第三者割り当て増資を実施している。この時点ではビットコイン取引所のZaifが主なビジネスだが、その後、プライベートブロックチェーン技術mijinの開発に取り組み、短期間で多数の事業提携発表を発表して注目を集めた(関連記事)。特に注目したいのは、住信SBIネット銀行の実証実験で「mijinが勘定系に使える」との評価を得たことだ。
テックビューロの今回の資金調達の背景に、ブロックチェーン技術への大きな期待があることは間違いない。4月25日に同社らが設立メンバーとして参加した「ブロックチェーン推進協会(BCCC)」の設立発表があったことは記憶に新しい。ブロックチェーン技術をめぐっては、日本のいくつかのスタートアップ企業が素早い取り組みを見せているが、その中でも自社製ブロックチェーン技術をB2B向けに展開する同社は要注目の1社といえる。
オリジナルのブロックチェーン技術で勝負するスタートアップが世界にいったいどれだけあるだろう。日本には自社製ブロックチェーン技術を持つスタートアップがテックビューロとOrbの2社、存在する。これはちょっと凄いことだと思わないか?