Pelin Kenezと彼女の協同ファウンダが前にいた会社では、デザイナーとデベロッパのあいだで多くのファイルが行き来していた。その場合、デザインが記述されたファイルからデベロッパが手作業で成分を取り出すとき、両者の口論が絶えなかった。
そこで二人はデザイナーとデベロッパ間のファイルの移動を改善するソフトウェアZeplinを作り、スタートアップを立ち上げた。同社はElad GilとMike Maples、および数名のトルコの投資家たちから、120万ドルを調達した。
“前にいた会社はモバイルのアプリを作っていたけど、何かをデザインしてそれをデベロッパに渡すとき、いつも同じ問題が起きていた”、とKenezは語る。“デザイナーがデザインを仕上げると、それをデベロッパに手渡す。デベロッパはデザイナーから渡されたPNGの画像やPDFファイルに書かれた注記を見ながら、コードを作る。Zeplinは、そのプロセスを自動化する”。
目標は、デザイナーとエンジニアとのあいだのギクシャクをなくし、工程をスムーズにすることだ。デザイナーとデベロッパは、基本的には一つのワークスペースを共有し、サイズや距離、フォント、アイコンなどの成分(〜要素)がそのスペースの中をスムーズに流れる。そのとき、デザイナーが大量の注記を記入した大きなデザインファイルをデベロッパに渡さなくてもすむようにするのが、Zeplinの仕事だ。Zeplinの料金はプロジェクトの数次第だが、最大の月額100ドルでは、プロジェクト数は無制限になる。
Zeplinを使った場合、デザイナーがエンジニアにファイルを送ると、エンジニアはそこから自動的にさまざまな成分を取り出して、コードに入れることができる。カラーコードの指定なども、自動化される。エンジニアが楽になるだけでなく、デザイナーもデベロッパに読ませるためのこまかい注記を書かないから、仕事が楽になる。仕事全体が速くなり、納期に十分間に合う。Zeplinは、iOSとAndroidの、必要な成分の違いも判断できる。
イスタンブール出身の彼らは、Y Combinatorの最近のクラスに入学した。ユーザの多くが合衆国なので、彼らは合衆国のアクセラレータを探していた。それに彼らは、以前から、YCのトップPaul Grahamのエッセイに感銘を受けていた。
資金は主に、既存チームの成長と、サンフランシスコに新たなチームを作ることに充てられる。イスタンブールとサンフランシスコの両方を維持するか、サンフランシスコに一本化するか、まだ決めかねている。でも複数の国にまたがるやり方としては、Talkdeskのような成功例も過去にある。
“トルコではシードラウンドで2〜3か月かかるけど、サンフランシスコはとても早い。トルコは投資とかスタートアップシーンが、まだとても若い”、とKenezは語る。
今後はたとえば、デザインツールを作っているAdobeのような企業がZeplin的なツールを出すかもしれないし、InVisionのような企業もZeplinのコンペティタになるかもしれない。Zeplinが今後好調なら、新しいスタートアップの参入もあるだろう。今Zeplinのユーザ数は85000、有料ユーザは1800名/社だ。すでにSlackやPinterestもZeplinを使っている。今想像されるZeplinの将来は、前途洋々でもあり、前途多難でもある。