テクノロジー企業の従業員たちは、いつも消費者向けのすばらしいアプリを開発しているが、社内におけるお互いのコミュニケーションは、使いにくいアプリで困っていることが多い。
中規模から大規模ほどの企業では、社員たちは1日の時間の4分の1もしくは3分の1を社内コミュニケーションに費やしているため、これは深刻な問題だ。
現在、サンフランシスコに本社を置くあるスタートアップが、ビジネスサービスをより便利に利用できるソフトを構築しようとしている。
Rattleは、現代の記録管理や情報プラットフォームのサイロ化した性質を対応するために、リアルタイムで協力的な「接続性のある組織」を構築していると、同名スタートアップの共同創業者兼最高経営責任者Sahil Aggarwal(サヒール・アガーワル)氏は、TechCrunchのインタビューで語っています。
「Salesforceを例にとると、Salesforceにデータを書き込むことと、Salesforceからデータを取り出すことの2つを行っています」とアガーワル氏は説明する。「Rattleは、Salesforceからのすべてのインサイトをメッセージングプラットフォームに送信し、メッセージングサービス内のデータをSalesforceに書き戻すことを可能にします」。
Rattleのユースケースは、もっといろいろなサービスで可能だ。たとえば電話の通話を認識して個人にそれをログするよう促し、そこから生ずる商機をSlackで追えるようにするようにもできる。
「SlackとSalesforceの統合から初めましたが、その買収によってその真価は実証されました。それは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を急速に進めるでしょう」とアガーワル氏はいう。彼がこのスタートアップを思いついたのは、以前の企業で社内チームのために作ったアプリケーションが大好評だったからだ。
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3月にローンチしたそのスタートアップは、すでに試用した企業の70%ほどが正規ユーザーになっている。顧客は50社を超え、その中にはTerminusやOlive、Litmus、Imply、Parse.lyなどがある。
Rattleの導入後、「導入部分の応答時間(リードレスポンスタイム)が75%、主要なプロセスが数日から数分に短縮されました」とLogDNAのGTM Ops ManagerであるJeff Ronaldi(ジェフ・ロナウディ)氏はいう。
Rattleは米国時間8月31日に、LightspeedとSequoia Capital Indiaからの280万ドル(約3億1000万円)のシードラウンドを発表した。Ciscoの執行副社長でDisneyの取締役Amy Chang(エイミー・チャン)氏と、Outreachの初期の投資家Ellen Levy(エレン・レヴィ)氏、Brex & Cartaの初期の投資家Jake Seid(ジェイク・セイド)氏、ユニコーンのSaaSであるChargebeeの創業者Krish & Raman(クリシュ&ラマン)氏らが参加している。
LightspeedのパートナーであるHemant Mohapatra(ヘマント・モハパトラ)氏は声明で次のように述べている。「世界中の企業は、営業、マーケティング、人事、ITなど、さまざまなプロセスに縛られています。デジタル化やリモートワークの増加にともない、プロセスやその遵守状況は時間の経過とともに乖離していきます。Rattleのチームが、このパズルの最も重要なピースである、プロセスに巻き込まれた人々に絶え間なくフォーカスしていることに感銘を受けました。これほどまでに顧客から愛されている企業は稀であり、Rattleと一緒にこの旅に出られることを光栄に思います」。
同社のサービスの利用料金は、社員1人あたり月額20ドル(約2200円)から30ドル(約3300円)となる。同社は今回の資金をプロダクトの拡張と、より多くのエンタープライズアプリケーションの統合に当てる計画だ。
画像クレジット:Rattle
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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)