デトロイトで人助けの寄付をクラウドソーシングするプラットホームDetroit Water Project、他都市への展開も構想

助けはどこからでもやってくる。そしてデトロイトの市民は助けを必要としている。2014年にデトロイト市は、合衆国の歴史上最大規模の自治体破産の最中(さなか)にいた。市は財政立て直し策の一環として、水道料金滞納世帯に対して断水を敢行した。2014年だけでも33000名の市民が水を断たれた。市は今でも未払水道料金の徴収努力を続けているが、しかしThe Detroit Newsの最近の報道によると、水道局は矛先を一般市民から企業へと移そうとしている。

そこで、水は基本的人権の一部だと主張する団体Detroit Water Projectが、未払の水道料金請求書をどっさり溜め込んでいる人びとにチャリティの寄付を結びつけることによって、彼らの命を救おうとしている。つまり世帯主がいわば、水道料金をクラウドソーシングするわけだ。未払料金は、ときには数千ドルに及ぶこともあるが、寄付者はその全額を払ってもよいし、一部を払ってもよい。同団体は今ではボルチモアにも進出して、Baltimore Water Projectを立ち上げている。

今ではNPOやNGOも育成支援しているアクセラレータY Combinatorの、2015年冬のクラスでローンチした協同ファウンダのTiffani Bellによると、彼女はデトロイトで始まった大規模な抗議運動に刺激されてこのプラットホームを開発した。当時は、直接的な援助が何もなかった。Detroit Water Projectがその穴をうめ、寄付につきまといがちな不確実性を取り除いた。水道料金の請求書は、すべて本物であることをチェックする。完全にNPOなので、お金は全額市の水道局へ行く。人助けボランティアであり、寄付の鞘(さや)を取る営利事業ではない。

これまでDetroit Water Projectはデトロイトの900あまりの世帯のために17万ドルを集めた。

Bellによると、このような団体をほかの都市にも育てることによって、水が合衆国国民の基本的人権に属することを正式に立法化したい。公共財である水を、真に公共財として保護する法律は、まだ存在しない。暖房に水が使われる場合のみ、生活保護的使用が認められる(スチームヒーターなど)。

生活保護のような低所得者支援制度はデトロイト市にもある。全国的な慈善団体United Wayに依存している制度だが、有資格の市民は未払公共料金の一部をその制度から払ってもらえる。有資格世帯は今2000近くあるが、市当局によるとこの制度の資金にはまだ余裕があるので、もっと多くの市民に知らしめたい、という。

NPOスタートアップDetroit Water Projectは、人助けにもイノベーションがありえることを、示している。ファウンダたちは、このプラットホームを築くことによって、寄付とその利用に往々にしてつきまとう面倒な手続きや、本来は要らないはずの手数料などをバイパスした。助けは、特定の決まったところからではなく、彼らが信ずるように、どこからでも*来るべきものだからだ。 〔*: 不特定任意の寄付者。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。