データセンターよりもクラウドに注力するセキュリティプラットフォームNetskopeが上場を匂わす大型ラウンド

Secure Access Service Edge(SASE)アーキテクチャをベースとするクラウドセキュリティ企業Netskopeが米国時間7月9日に、投資前評価額75億ドル(約8260億円)で3億ドル(約330億円)を調達したことを発表した。

この応募超過のインサイダー投資はICONIQ Growthがリードし、Lightspeed Venture PartnersやAccel、Sequoia Capital Global Equities、Base Partners、Sapphire Ventures、Geodesic Capitalなどの既存の投資家が参加した。

Netskopeの共同創業者でCEOのSanjay Beri(サンジェイ・ベリ)氏によると、同社は2012年の創業以来、企業がその最も重要なもの、すなわち機密データを発見して保護できるようガイドすることをミッションとしてきた。

「それまで市場にあったセキュリティ製品はデータの保護に注力していませんでした。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)が必須となった今日では、そのような市場を変えて、多くの人にそれができるようにしなければなりません。弊社が10年近く作ってきたものは、まさにそれです」とベリ氏はいう。

今回の新たなラウンドも含め、Netskopeは大型投資が続いている。2月には3億4000万ドル(約370億円)を調達して、評価額を30億ドル(約3300億円)近くとした。その前には、2018年の終わりに1億6870万ドル(約190億円)のラウンドを完了している。

他のラウンドと同様に、同社は資金を積極的に求めていたわけではない。ベリ氏によるとそれは「私たちのことをよく知っている人びとによる内部的ラウンド」だという。

「実際には10億ドル(約1100億円)調達することもできたが、今以上の資本は必要ありません。しかし、手元に強力なバランスシートがあることは、悪いことではない。そんな状況にあることはありがたいことですが、私たちの最終目標は世界最強のサイバーセキュリティ企業になることです」とベリ氏は付け加えた。

同氏によるとNetskopeは最近「世界中の誰もが15ミリ秒で接続できる世界最大のクラウドネットワークを3年がかりで構築したばかり」だという。そして新たに獲得した資金はR&Dの継続とプラットフォームの拡張、そしてNetskopeのゴー・トゥ・マーケット戦略により、2024年には300億ドル(約3兆3030億円)の価値があると推計されている市場の需要に対応していくことに投じられる。

同社はパンデミック以前にも強力な成長を遂げ、この市場の平均と言われる50%の年成長率を上回った。Crunchbaseのデータによると、今日の投資でサンタクララに本社を置くNetskopeの累積調達額は10億ドルを超えた。

これだけの資本を累積してきた企業にとって、次の当然のステップといえば、上場企業になることだ。ベリ氏によると、上場はしようと思えば今でもできるが、資金調達もマーケティングも従来のままで順調だから、上場すべき理由はないとのこと。

「この道の先に上場が待っていると思いますが、その前にさらに新たなプライベートラウンドを調達することはもうないでしょう」とベリ氏は言っている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Netskope資金調達

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。