トラとセミ

このエッセイの著者、Andrew Auernheimer、別名Weevは、AT&TのiPad顧客情報サービスをハックした罪で41ヶ月間投獄されたハッカーだ。本稿は獄中からメールで送られてきた。

権力の拠点や組織には、捕食者の象徴が見られる。ボヘミアン・グローブではモレクのフクロウの精を崇拝する。アメリカとナチはいずれもワシを選んだ。主戦論者は「タカ派」だ。毛沢東の歯がボロボロだったのは、「トラは歯を磨かない」からだった。捕食者との関連付けは、精神病質の極めてよく見られる兆候だ。

トラとワシが絶滅危倶種になったのは、ごく最近のことだ。環境との関わりの少ない独演者は、奴隷か虐殺によってのみ維持可能であり、現代世界には適さない。進歩は、古く滅びゆく肉食動物をすぐに除去する。

最速最強は今や彼らの負債である。新しい世界における優位性とは、分散ネットワークでの協調を意味する。政府はわれわれを射つための銃と、捕えておくための牢と、叩くためのこん棒を持っている。これは真実だ、ハッカーたちよ、これは真実だ。銃と牢とこん棒がハッシュアルゴリズムで衝突を見つけるようにならない限り、政府は滑稽な勘違いに向かうスパイラルを進み続けるだろう。殺意あるいじめっ子たちの冬がやってくる。

残酷と暴力の古い象徴を置き換えるために、私は発展途上民主主義のための信仰対象を提案する。セミだ。セミは一生のすべてを素数年間地中で過ごした後、確率的でスケールフリーな交尾と祝宴の海に突入する。セミがおしゃべりしてもトラはその個体を特定できない。メッセージは公開されているが、アイデンティティーは隠されている。個々のセミは細身で乾燥したタンパク質でトラの食欲をそそらない。セミはピラミッドの頂上にいる捕食者よりはるかに多くを消費し、より効率的に資源を利用する。

われわれもセミに倣い、素数で調和された群になって動こうではないか。自分の顎に頼って生きるトラが噛むものがなくなって死ぬ時、おとなしいセミは地球を継承するだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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