ドライカーゴ海運のデジタル化を進めるShipfixが約5億円を調達

ドライカーゴ(乾貨物)専門の海運業界のデジタル化を進めているShipfixが、450万ドル(約5億円)の資金を調達した。

シードラウンドをリードしたのはIdinvest Partnersで、ほかにKima VenturesとThe Family、Bpifrance、および企業エンジェルによる戦略的投資が加わった。同社は2018年12月に現在CEOのSerge Alleyne(セルジュ・アレイン)氏とCOOのAntoine Grisay(アントワーヌ・グリザイ)氏が創業し、わずか2カ月前に事業を開始した。

アレイン氏は「今のドライカーゴ海運業界のメール過剰状態をなくして、総合的な市場モニター能力を提供したい。今のバラ積み輸送業界に徹底的に欠けている、データドリブンなインサイトを作り出したい。実はドライカーゴ業界では、最新の情報通信革命と言えばメールのことで、多くの人がまだブローカーのパネルを見て市場の指標(インデックス)を知り、そのほかのデータはすべてメールに依存している」。

同氏によるとその解決策としては、Shipfixはクライアントのメールに接続して匿名でデータを収集し、ディープラーニングの技術を使って膨大な量のデータポイントを集積する。

これまでのように大量の受信メールをスクロールして人間の目が市場の動向を何時間もかけて知るのではなく、Shipfixを通して定型的な市場データを瞬時にフィルタしたり、検索したりできるようになる。

またShipfixでは、Alleyne氏が「拡張ディレクトリ」と呼ぶものを閲覧でき、そこにはLinkedInなどでは通常見られないような、船や港、企業、そして人の情報がある。そしてデータドリブンなベンチマークとインデックスにもアクセスできる。

Shipfixの顧客は主に船をチャーターしたり、船主として船を提供したり、海運業を営んだりする人びと、そして大量のブローカーたちだ。しかし長期的には同社は、商品取引のトレーダーや、保険会社、銀行、政府、投資企業なども、彼らが作っているベンチマークやインデックスの粒度に応じて顧客にしたいと考えている。

アレインしては、「対象となるカーゴ(積荷)は、塩や砂、鉄鉱石、肥料、穀物、鉄鋼など400種類以上もあり、それらの世界中の市場動向を予測しなければならない。商品取引の世界に関わっている人なら誰もが、その情報を必要としている」とも語る。

同社の社員は今15名で、シニアエンジニアや、海運業界のプロフェッショナル、データサイエンティスト、アナリストなどがいる。チームは多くがリモートで、ロンドンやパリ、ツールーズなど7つの都市に分散している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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