ウェブページやアプリのデザインについて、「イメージやアイデアはあるけれども、コーダーにうまく伝えられない」「PowerPointなどで何とかイメージを伝えようとするが、実現したいデザインとは全く違うものになってしまう」という悩みを持つ、ノンデザイナー、ノンコーダーの設計者は多いのではないだろうか。また、設計者やデザイナーが意図した動きとコーディングの実装が違っていて、思った通りに動かない、ということもよく聞く話だ。
「STUDIO」は、デザインスキルやエンジニアスキルがない人のサービス開発を助ける、デザインツールだ。ブラウザ上のツールで、ドラッグ&ドロップで追加したい要素を移動させることで、リアルタイムでウェブやアプリのデザインが可能。実際のコードベースのレイアウトでデザインでき、レスポンシブデザインにも対応している。デザイン確認用のURLも発行され、実機での動きのチェックも簡単だ。
STUDIOは2017年1月に先行事前登録を開始し、ベータ版を4月に公開。8月には、世界中のプロダクトを紹介するサイト「Product Hunt」で「#1 Product of the Day」を獲得し、世界でも注目されている。現在のユーザー数は1万人を超え、海外ユーザー比率が60%を占めるという。
「アプリを作るには、デザイナーがイラストベースでデザインを作ってから、エンジニアがコードを書かないといけなかった。これでは二度手間。STUDIOは『コードを書かずに(デザインをするだけで)サービスを作る』という考えからスタートしている。デザインのツールではあるが、それは『グラフィック』という意味ではなくて『設計』という意味でのデザインのためのツールだ」——サービスを提供するSTUDIO代表取締役社長の石井穣氏、取締役の甲斐啓真氏はこのようにプロダクトの開発経緯を語る。
STUDIOは、2016年4月にUI/UXデザインの受託開発を行うオハコのグループ会社、オハコプロダクツとして設立され、独自プロダクトのSTUDIO開発を進めてきた。2017年9月には現在の経営陣を実施してオハコから全株式を取得。社名をSTUDIOに変更し、独立した。
そして10月4日、同社はシードラウンドで5000万円の資金調達を実施したことを発表。引受先は、D4V(Design for Ventures)、大和企業投資、およびエンジェル投資家2人。D4Vは、グローバルで展開するデザインコンサルティングファームのIDEOとベンチャーキャピタルのGenuine Startupsによって、2016年10月に設立されたベンチャーキャピタルだ。
STUDIO社では今回の資金調達により、「STUDIOを世界でシェアを取れるツールにするべく開発体制を強化させていく」とコメント。STUDIOを「今後、コードを書かずにWebサービスやアプリを作成可能なツールに進化させていく」としている。外部サービスとのAPI連携を強化。アプリのパブリッシュ機能等を強化していく。