干ばつ、気候変動、森林破壊により世界中の森林がリスクにさらされている。これまで以上に森林のエコシステムについて研究することが重要だ。しかし、シエラネバダ山脈のエコシステムを研究するのに、すべての木に登って調査するのは骨が折れる。ドローンと先進の画像技術を使うことは、木を登るよりはるかに実用的な方法であるとカリフォルニア大学バークレー校のプロジェクトは示している。
カリフォルニア大学バークレー校の生態学者Todd Dawsonは木に登って枝を測ったり、成長具合を確かめるのに多くの時間を費やしている。読者が想像するように、これは時間がかかり、危険で大変な仕事だ。そのため、ドローンメーカーのParrotと画像テテクノロジー企業Pix4Dのコラボレーションは魅力的に映った。
「これまで5人から7人のチームが1週間かそれ以上の時間をかけ、1本の木に登ってその木のデータを集めます。ドローンを使えば、2分の飛行で同じことができます。木の周りを飛ばすことで、葉の位置を把握します。キャノピーの中で画像処理を少し行えば、木の全体像を1日で把握することができます」と Dawsonはバークレーのニュースリリースで説明している。
ドローンは、もちろん林業や農業で広く使われているが、ここで用いている設定は素早く、反復的に個別の木の特徴を捉えるために特化しているという。Pix4Dの「Sequoia」カメラは、複数の波長帯を観測するマルチスペクトル画像処理という賢い技術を活用している。また、それと同時にLIDARを使用し、木の詳細な3Dポイントクラウドを生成する。これらの方法で得たデータを見ることで、木の健康状態や成長具合が分かるという。週次や月次でデータを集めることで、木の変化の経過を見ることも可能だ。
データの処理や保存も大きな問題ではなくなってきている。Pix4Dが開発したソフトウェアはデータを素早く処理し、この特定の用途のためにすぐに活用できるという。集めたデータは他の予測モデルを構築するのに用いていることも可能だ。例えば、葉の分布から炭素交換を予測したり、あるいは気候学や人類学の研究のために木の成長や健康状態のデータを使用したりすることができる。
Dawsonの研究はパイロットプロジェクトだ。ParrotとPix4Dはこの他に、気候変動軽減のためのイノベーションを援助する「Climate innovation grant」をローンチし、研究者が彼らのドローンや画像技術ハードウェアを利用できるようにする。研究テーマは「気候変動の影響を軽減するための理解とイノベーションを促進する」ものであるなら、「考古学から動物学」まで幅広く対応するという。
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(翻訳:Nozomi Okuma /Website)