産業用ドローンが本当の意味で自律飛行するのに必要な、障害物を”感知・回避”するテクノロジーを開発しているIris Automation Inc.は、この度150万ドルを調達したと発表した。
障害物を発見し、それを避けながら高速で動く機体を正確に操縦するというのは、人間のパイロットにとっても至難の業だ。しかしIrisが開発中のテクノロジーは、ドローンに取り付けられたカメラからの情報をリアルタイムで分析し、機体の動きを変えられるようになっている。「私たちは人間のパイロットのような視認・意思決定プロセスをソフトウェアで再現しようとしています」とIris Automation CEO兼共同ファウンダーのAlexander Harmsenは話す。
Y Combinatorの卒業生であるIris Automation以外にも、人工視覚システムを使ってドローンや(将来的には)他のロボットや車を自律化させるような技術を開発している企業は存在する。Irisが現在開発中のドローン用のシステムの競合としては、SRIからスピンアウトしたArea 17(別名a17)、Intel RealSense Technology、ParrtのSLAMdunkシステムそしてDJIのGuidanceシステムなどが挙げられる。
Harmsenによれば、衝突回避システムを自社で開発するだけの専門性をもっていないようなドローンメーカーをIrisは顧客として想定している。同社でR&Dディレクターを務めるAlejandro Galindoは、フランスのINRIA Labsでコンピュタービジョンの博士号を取得しており、初期からIrisで働く他の社員もメカトロニクスやファームウェア工学、センサーフュージョンなどの分野に明るい。
産業用ドローンに特別な衝突回避システムが必要だとIrisのチームが考えている理由は、消費者向けドローンと比較したときの使われ方にある。産業用ドローンは長距離を行き来し、地図には現れないような空中に飛び出したインフラをカメラで捉えなければならない。しかもそのようなインフラは、構造的な理由や天候の影響を受け、毎時間とはいわずとも日々変化する可能性がある。一方コンシューマーや”プロシューマー”向けのドローンであれば、普通はもっと短い距離を飛行し、空中写真や卒業式・結婚式の映像を撮影するのに使われるくらいだ。
Bee Partnersがリードインベスターとなった今回のラウンドには、Social Capital、GGV Capital、Liquid 2、Kevin Moore、Pau Bucheitらが参加していた。サンフランシスコに拠点を置くBee Partnerでプリンシパルを務めるGarret Goldbergは、Iris Automationを、一般に普及する前のエアバッグやシートベルトを製造していたメーカーに例える。
また彼は、長期的にはIrisのテクノロジーがドローン以外にも応用されるようになると話す。「車であろうがドローンや船であろうが、状況把握はとても重要なポイントです。万能なセンサーであるカメラとコンピュータビジョン、機械学習を組み合わせることで、システムも人間のように世界を見ることができるようになるでしょう」
Irisは今回の調達資金を使って、現在ベータ段階にあるソフトウェアベースの感知・回避テクノロジーを、商業化させたいと考えている。具体的な計画のひとつとして、同社で成長戦略・パートナーシップ部門のトップを務めるHassan W. Bhattiのもと、アーリーアダプター向けのプログラムが始まる予定だ。その後Irisは、アーリーアダプターに同社のシステムを、現実世界とシミュレーションの両方で出来る限りたくさん利用してもらおうとしている。
「システムのローンチ、スケールにあたっては、できるだけ長い時間システムを使ってドローンを飛ばし、フォールスポジティブやフォールスネガティブがないか調べ、規制機関や保険会社と話し合いながら、エンドクライアントと協力していくことが肝心だと考えています」とHarmsenは語る。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)