ニュース記事の栄養成分表示で偽情報と戦うOur.News

Our.News(アワーニューズ)というスタートアップは、ユーザーをニュースの消費者として賢くするための努力を続けている。言い換えれば同社は、まったく手に負えない、ある大きな問題に立ち向かっている。そのひとつが、インターネット上に蔓延する膨大な量の偽情報だ。Our.Newsの創設者でCEOのRichard Zack(リチャード・ザック)氏は「悲しいことに、それが真実かどうかを故意にわかりづらくする人たちが世界には無数にいます」と話す。

同時に、メディアを信じない人や、ファクトチェッカーを信じない人(さらに、真実では考え方が変わらない人)も大勢いる。これらすべてが、何を信じるべきかを誰も知らない、または自分の信念を後押ししてくれる話だけを単純に信じる人たちばかりの環境に積み上がっている。

「人々に真実を告げても、偽情報と戦うことはできません。信じてもらえないからです」とザック氏。ではどうしたらいいのか?そのひとつが「ニュースの栄養成分表示」だと彼は言う。「良いか悪いかを示すものではなく、買うべきか止めるべきかを指示するものでもありません。その判断は消費者の自由です」。

ある意味このアプローチは、インターネット上の情報源を格付けするNewsGuardと似ている。実際、ザック氏も「私たちはNewsGuardと彼らのやり方を真剣に支持しています」と話している。だが彼は、パブリッシャーの評価が十分でないと指摘する。そこでOur.Newsは、個々の記事のラベル付けを開始したのだ。彼はそれを、どちらもグラハム・ミルズが製造するシリアルであることを知るに足る情報がない中で「ラッキーチャームかチェリオかで迷う」ようなものだと例えた。

別の言い方をすれば、パブリッシャーの話を鵜呑みにしないほうがいいということだ。超一流のメディアでも間違いはある。なので、彼らが何を主張しているのかを理解し、その情報源と、その主張が独立したファクトチェッカーの審査を受けたか否かを知っておくべきだ。

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Our.Newsのラベルは、FirefoxかChromeの拡張機能、またはiOSで使える。このラベルには、Freedom Forumによるパブリッシャーの説明、AllSidesによる偏向評価、記事の情報源、著者、編集者に関する情報、PolitiFact、Snopes、FactCheck.orgなどの情報源によるファクトチェック情報、「クリックベイト」や「風刺」などの分類、ユーザーの評価とレビューといった情報が含まれる。

Our.Newsでは、1日におよそ5000件のラベルを作成し、今日までに60万件にのぼったと話している。もちろん、我々が読む記事にこのラベルが付いてないことのほうが多いが、そんなときでも、Our.Newsはパブリッシャー情報だけでも提示してくれることがある。また、ボタンをクリックしてその記事を彼らのシステムに追加することもできる。

「私たちはあえて、(記事に関する)客観的な事実と主観的な観点を混合しました」とザック氏。「それが解決策だと考えたのです。[中略]主観ばかりでは単なる人気投票になってしまう。客観性だけでは、誰が真実と判断するのか? となります。この2つを私たちは混在させ、すべてを栄養成分表示ラベルに凝縮したのです。それにより、ニュースの消費者は、より早く自身の判断ができるようになります」。

彼はまた、ユーザーによってこのラベルの扱い方が異なることに気がついた。たとえば、それでもファクトチェッカーは信用できないという人もいるが、パブリッシャーに、通常のコメント欄よりも体系化された形で意見を伝える方法を提供するという価値はあると、ザック氏は主張している。

また、ユーザーによる評価は、評価した人のラベルへの関与度に基づいて比重が変わるという。パブリッシャーの情報、情報源、ファクトチェックを読み飛ばした人による評価は、それらすべての情報を慎重に考慮した人の評価よりも価値は低めになる。

こうした現在の消費者向けの情報配信に加え、Our.Newsは、パブリッシャーやその他の業者がラベルを組み込めるサービスも開始した。ザック氏によるとこれは「ニュースパブリッシャー、コンテンツ収集サイト、ソーシャルネットワーク、記事を公開してるあらゆる組織」が利用できるという(これが同社の収入源にもなる)。

彼らの願いは、Our.Newsのパートナーたちがこのラベルを使うことで、読者がコンテンツをもっと楽に信頼できるようになり、そうした読者からの意見が集めやすくなることだ。ある程度のカスタマイズが可能だが、パブリッシャーはラベルの実際の内容を変更することはできないとザック氏は念を押していた。

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画像クレジット:Jon S Flickr under a CC BY 2.0 license

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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