ノンネイティブが書いた英語の間違いをMicrosoft Wordよりも細かく見つけてくれる1Checker

【抄訳】

ケンブリッジ大学の二人の院生が作った1Checkerは、英語が母国語でない人たち向けの英語の校正ソフトウェアとして、Microsoft WordのスペルチェッカーやGrammarlyを上回る性能を目指している。1Checkerと、その姉妹製品で外国語学校用のオンライン学習管理プラットホーム1Courseは、英語の学習者がよく犯す間違いを見つけて、機械的画一的でなく文脈に即した正解を提案し、ユーザが納得するような直し方をしてくれる。

この二つのソフトウェアを作ったロンドンのGreedy Intelligenceは、大学のシードファンド部門であるCambridge Enterpriseから資金を調達し、さらに今は、シリーズAのラウンドを終えようとしている。

協同ファウンダのYichi Zhangが1Checkerのための自然言語処理技術の研究開発を始めたのは、ケンブリッジの学部学生としてソフトウェア工学を勉強しているときだった。Zhangの母国語は中国語なので、とくに外部に発表する英語の研究論文を書くとき、良い校正ソフトがないことに悩んでいた。とりわけMicrosoft Wordが内蔵しているスペル/文法チェッカーは、母国語が英語でない人の英語に多い間違いを、見つけてくれないのだ。

たとえばZhangによると、ネイティブの英語人間が正しく”big red bag”と書くところを、ノンネイティブティブは”red big bag”と書くことがあるが、形容詞のこのおかしな並び方を、Wordはチェックしてくれない。しかもこれは、ネイティブの人が犯しがちな間違いの部類ではない。また”affect”と”effect”のような同音異字の使い分けも、ノンネイティブはよく間違える〔meet, meat; foul, fowl; queen, quean; right, rite, write, wright; deer, dear; などなど〕。

また、今後のバージョンでは、不自然で分かりにくい文章の単純化/明解化を推奨したり、同じ単語や言い回しを多用して文章が単調になっているときは、用語に適当なバラエティをつけるよう、アドバイスしてくれる。

Zhangは1Checkerを、Greedy IntelligenceのCTO Lin Sunと、ケ大の中国人学部学生らとともに制作した。中国人留学生の学部学生たちは、自分たちが書く英語のために良質な校正ソフトを求めていた。チームが2009年に、それまでとは違うアルゴリズムを試したとき、重要な突破口が開けた。校正ソフトはカバー範囲の広さと正確さという二者の均衡が重要だが、これにより適切な均衡が得られるようになった。

“一定レベルの正確さを維持しながらカバー範囲を広げられるようになり、ノンネイティブが犯しがちな間違いをより多く捕捉できるようになった”、とZhangは言う。“機械学習などの人工知能技術を利用して、コンピュータが文法規則だけでなく、対象とする論文のセマンティクスや文脈(コンテキスト)を理解できるようにした。そのため今の1Checkerは、文脈に即したエラー検出ができる”。

【中略】

Greedy Intelligenceが1Checkerを無料で提供している理由の一つは、データが増えれば増えるほど、アルゴリズムが賢くなるからだ。1Checkerと1Courseは、多くの人が使い込むことによって、より正確になる。ただしZhangによると、Greedy Intelligenceはユーザのプライバシーを尊重するため、言葉に対するユーザの好みや偏りは機械学習のために利用するが、ユーザが書いた文書そのものは保存しない。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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