“スーパー”を超えた“ハイパー”なスケールの事業者といえば、AmazonやApple、Facebook、Googleなど、大規模なコンピューティング能力を備える必要のある巨大な企業のことで、彼らが使っている高度な専用データセンターは、数も限られている、と一般的には思われているだろう。しかしSynergy Researchの最近の調査によると、2017年は世界中でハイパースケールなデータセンターが一挙にどっと増えた年だった。そして2018年にはそれが沈静化する、という兆しもない。
Synergyの報告によると、この年は世界中に390あまりのWebスケールの*データセンターを抱えた状態で終わる。その稼働がとくに活発なのはGoogleである。中国のTencentやBaiduも、今年ハイパースケールなデータセンターを建設した。しかしその大半はまだアメリカにあり、全体の44%を占める。二位の中国が8%、日本とイギリスが6%、オーストラリアとドイツが各5%だ。〔*: Webスケール, web-scale, Web全域を到達対象とする〕
Synergyの調査報告では、1位から24位までの上位24社のハイパースケールな企業が、一社平均で16のデータセンターを保有している〔16×24=384、384/390=98.5%〕。最上位集団に属するAmazon/AWS, Microsoft, IBM, そしてGoogleは各社がそれぞれ、世界中に45以上のデータセンターを持っている。
ハイパースケールの明確な定義はないが、たとえばIDCの説では、サーバーが5000台以上、床面積10000平方フィート(約900平方メートル)以上、となる。しかしSynergyの定義では、サーバーの台数が数十万台、ときには数百万台の事業者だ。
これらの事業者は大量のコンピューティングニーズを賄(まかな)うために、装備を自作ないし特注することが多い。彼らはハードウェアもソフトウェアもカスタムデザインにして、コンピューティングのあらゆる側面を自分で完全にコントロールしようとする。すべては、効率を最大化するためだ。大規模で高効率、それが彼らの目指すところだ。
それを実現するためには、往々にして細部に亙る構成の自由のない既成品のハードウェアは使えない。そして、そういう自作ないし特注のサーバーおよびネットワーキングハードウェアを大量に使って巨大なデータセンターを運用できる企業は、当然ながら最上位の数社に限られてくる。
この、われわれが簡単に会員にはなれないクラブの成長が続くかぎり、世界中でハイパースケールなプレゼンスがさらに大きくなり、Synergyによると今すでに、彼らの69の新たな大規模データセンターが建設ないし計画されている。今年390と報告されたハイパースケールなデータセンターは、2019年の終わりには500を超えている、とSynegyは予測している。
〔訳注: この記事ではハイパースケール(hyperscale)という形容詞がデータセンターを形容したり、事業者を形容したりと、二股的に使用されている。〕