これからY Combinator(YC)で育っていく新進のバイオテックスタートアップたちは、ある先輩企業とその育ての親であるYCとのパートナーシップに助けられることになる。
その、3年前に創業した企業Transcripticは、自動化実験を代行するサービスで、今およそ60の企業や研究機関を顧客として抱えている。同社はこれまで約600万ドルの資金を調達して、ハードウェアとソフトウェアのスペシャリストや実際の実験担当員など、社員を18名にまで増やしてきた。
同社の実験室(ラボ)は、一つが貨物船用のコンテナぐらいの大きさで、同社はそれを“ワークセル(work cell)”と呼んでいる。TranscripticのファウンダMax Hodakによると、同社のセルの中で、今バイオテック界隈で必要とされている実験工程の90%ぐらいはこなせる。ユーザはWeb上のシンプルなインタフェイスから、自分のセルで行うワークフローを組み立てる。するとロボットアームやそのほかのプログラマブルツールが実際の実験行為を行う。
Y Combinatorとのご縁に由来するいろんなアドバンテージのほかに、同社はYCを卒業したそのほかのバイオスタートアップたちからのフィードバックにも助けられている。またこれら卒業生たちは、今回のパートナーシップの一環として、Transcriptのワークセルを利用するための料金として2万ドルのクレジットをYCから提供される。つまりYCは、Amazon Web ServiceなどがWebやアプリケーションベースのスタートアップに対してやっているインフラ/プラットホームサービスを、バイオスタートアップに対してやろうとしているのだ。新進スタートアップにとって、ラボと、そこでの実験工程への大きな投資を節約できることの効果は、きわめて大きい。
Transcripticのラボでできる実験は、合衆国厚生省(U.S.Department of Health and Human Services)の疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention, CDC)の規則で、その生物学的安全性(バイオセーフティ)レベル1とレベル2の実験しかできない。また、臨床試験以外の目的で製薬実験工程を自動化することも許されない。
しかしこれらの制約を除けば、同社のワークセルでほとんどあらゆる種類の実験が可能で、しかもそれをWebから管理〜コントロールできる。そのためのアプリケーションは今2本あるが、年内にもう一本新しいのが加わる。Hodakによると、UC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)が2014年の国際遺伝子工学マシンコンテストに優勝したときの実験は、Transcripticのワークセルで行われた。
同社のワークセルで使われている実験用の器具機械は、そのおよそ半数ぐらいを内製しているので、競合製品/類似製品に比べて低コストだ。たとえば、ロボットアームや冷蔵保管庫は同社の内製である。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))