ミレニアル世代の消費者は、これまでのどの世代よりも購入する商品の持続可能性を気にしている。この傾向は、ピュー研究所、クレムゾン大学、ニールセンを筆頭に、さまざまな機関の調査からも明らかだ。ニューヨークに拠点を置き、消費者関連データを研究しているHowGoodは、この度シリーズAで420万ドルを調達し、小売企業が持続可能性を心配している顧客の質問に答える手助けをしようとしている。
HowGoodは、食品やパーソナルケア用品といった日用品に関する情報の収集・解析を行っているスタートアップだ。同社は環境や健康への配慮、商流などに基いて商品を評価し、算出されたスコアは小売店の値札やHowGoodのウェブサイト、モバイルアプリなどを通じて消費者のもとに届くようになっている。彼らのモバイルアプリを使えば、消費者は商品のバーコードをスキャンしてスコアを確認することができる。
HowGoodはこれまでに、食品や飲料品を中心に約20万点の商品を分析しており、独自のソースから入手した情報のほか、政府や第三者機関からの情報を総合して各商品のレーティングを行っている。評価対象となっている項目には、原料の調達方法や、含まれている化学品、加工方法、パッケージ、輸送手段、生産に関わっている労働者の状況など、商品に関わるあらゆる面が含まれている。
HowGoodとライセンス契約を結んでいる小売店であれば、商品のスコアを店頭で表示したり、逆に店頭にはデータを表示せず、どの商品をストックするかの判断を下すためにデータを参照したりできる。メーカーであれば、持続可能性という観点から自社の商品と業界平均を比較することもできる。
共同ファウンダーでCEOのAlexander Gillettは、これまでにHowGoodが分析した商品の5%しか満点を出せていないが、2007年に彼らが自前の資金でHowGoodを設立した頃に比べると、多くの商品のスコアが改善したと話す。つまり、持続可能性の向上が、商品の売上増加につながっているかもしれないのだ。「他社に製造を委託している商品が良いスコアを叩き出すことはよくあります。持続可能な商品ほど予算に限りがある消費者には手が届かない、というのはもはや過去の話です」と彼は付け加える。
FirstMark Capitalがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、Contour Venturesや労働者権利擁護団体のHumanity United、Serious Change LP、Great Oaks Venture Capital、High Line Venture Partnersのほか、エンジェル投資家のJake LodwickとJoanne R. Wilsonが参加していた。
FirstMark Capitalのファウンダーでマネージング・ディレクターを務めるRick Heitzmannは、HowGoodへの投資を決めた理由について、同社のデータが一部のメーカーや小売店の大幅な売上増加に貢献しながら、消費者が自分の選択に満足できるような仕組みを提供していると話す。さらに彼は、持続可能性を重視するトレンドは今後も続いていくと考えている。
「消費者には全ての情報が開示されていないため、彼らは無添加、ヘルシー、脂肪ゼロといったラベルを見て『もうよくわかんないから、とりあえず1番安いのを買おう!』と考えてしまいます。しかしそこで、あなたが気にしている点ではこの商品が1番良いですよ、と伝えてあげれば、消費者はその商品を購入し、自分の選択にも満足することができます」とHeitzmannは話す。
さらに、HowGoodは消費者を導く以外にも、メーカーやスーパーに対して、業界全体と比較した自社の商品の持続可能性や、売上と持続可能性の関係性などを、よりわかりやすい形で提示していると彼は言う。
HowGood CEOのGillettは、今回の調達資金を使ってもっと多くの商品を分析し、顧客となる小売企業やスーパーの数を増やしていきたいと話しており、化粧品や身だしなみ用品のスコアも間もなく公開される予定だ。同社のサービスの導入を予定している企業の名前は明かされなかったが、少なくとも化粧品小売企業1社と契約を締結したと彼は語った。
調達資金の一部は、技術的な研究開発にも使われる予定だ。ウェアラブルやヘルスアプリ、新しい店内用のディスプレイや、Google Home・Amazon Echoといった音声システムなど、消費者にデータを提供するための新たなチャンネルをHowGoodは常に探し求めている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)